ペーパーレス化の効果は?成功事例から学ぶ取り組みの方法

ペーパーレス化の効果は?成功事例から学ぶ取り組みの方法

業務効率化

ペーパーレス化への動きが社会的に強まるなか、自社の成功イメージがつかめず、取り組みが進まないという企業もあるのではないでしょうか。ペーパーレス化による具体的な効果が分からないと、実施の負担ばかりに目が向いてしまい、なかなか積極的になれません。今回はペーパーレス化のさまざまな成功事例を紹介しながら、効果についての理解を深められる情報をお伝えしていきます。

ペーパーレス化を推し進めるとどのような効果が得られるのか

現代企業にとってペーパーレス化が必要性の高いものであるとは何となく感じていても、実際にどのような効果があるのか今ひとつ理解できていないという場合があるかもしれません。最初に、ペーパーレス化を進めることによって得られる効果について解説します。

ペーパーレス化の目に見える効果

ペーパーレス化の最も分かりやすい効果は、物理的なコスト削減です。

紙にプリントする場合の用紙代やインク代、トナー代、印刷の外部委託費、印刷機導入などの印刷関連費用は直接的で理解しやすいコストです。

さらに印刷を行う業務の人件費や紙媒体の梱包、搬送、搬入、搬出などの作業費用の発生も想定されます。拠点各所に送付するための配送費用、書類を置くための保管スペースと整理や管理コストもかかるでしょう。さらに不要な書類についての、廃棄処分費用もいずれは発生してきます。

ペーパーレスにより情報をデータ化することで、上記費用の多くを削減することができます。

ペーパーレス化の潜在的な効果

ペーパーレス化には視覚化されない効果もあります。

例えば、以下のような効果が期待できます。

  • 書類に押印し回覧する手間がなくなる、必要な書式の用紙を探す手間がなくなるといった作業時間の短縮による、業務の効率化が見込めます

  • 承認フローをペーパーレス化することで、意思決定が迅速になりビジネスのタイミング喪失が回避されます

  • リアルタイムの情報をどこからでも共有でき、社内の意思疎通や意識の統一に貢献します

  • 紛失・置き忘れ・盗難などによる情報漏えいのリスク回避、情報アクセス権限の付与による書き換えや不正処理の防止など、コンプライアンス強化に役立ちます

  • 蓄積されてきた情報をデータ化できれば、検索・抽出が容易となり、新たなデータ活用術が生まれます

以上のように、ペーパーレス化では各種コストと作業時間の圧縮が可能となります。特に時間の節約は社員に余裕をもたらし、業務意欲の高まりや満足感の醸成にも期待できます。

ペーパーレス化の基本的な知識については、「ペーパーレス化とは?実施に向けて改めて基本情報を確認しよう」をご覧ください。

ペーパーレス化の成功事例

具体的なペーパーレス化の成功事例を、導入方法別に紹介します。

タブレット導入による成功事例

  • 教職員への配布により印刷コスト削減・業務効率アップ

学校法人の事例では、紙媒体を大量に使用する教育活動において、まずは教職員からペーパーレス化を開始しました。タブレットを全職員に配布。職員会議の資料コスト削減に加え、校内通知の漏れ防止や会議数の削減効果が得られています。

  • 中小企業の営業報告・役員会議をペーパーレス化

稼働の多い営業部隊をペーパーレス化することで、効果が上がった事例もあります。営業担当者にタブレットを配布し、客先でのカタログ提示や顧客情報の追加・補足、業務状況の報告をオンラインで実施。

役員会議ではタブレット上で上記の報告をすべてリアルタイムに確認でき、現場との感覚のズレを解消しています。比較的年齢層の高い役員クラスでも、画面の拡大ができる点で好評を得ていることから、今後も活用の拡大を予定しています。

ワークフローシステム導入による成功事例

  • コンサルティング・システム開発を行う大手企業の例

グループ会社との経営統合に伴う申請・承認業務の煩雑化が懸念されるなか、ワークフローシステム導入によるペーパーレス化に踏み切った事例もあります。

多拠点により業務が錯綜(さくそう)することが予想され、内部統制の強化のため申請書の電子化に着手。さらにリモートワーク推進のため、ペーパーレス化が急務となりました。

システム導入7カ月で約43,000時間の業務時間、約56,000枚の用紙を削減。申請書のほぼ完全なペーパーレス化を実現し、コロナ禍によるリモートワークにもスムーズな対応ができました。

  • 社内の申請・決裁業務を支えるインフラ

大手シンクタンク企業の事例では、ワークフローシステム導入前は400種類もの申請書を紙で処理し、時間や人的コストが多大にかかっていました。システム導入後は、グループ全体で900種類以上の申請書をペーパーレス化、月間25,000件の処理実績を達成。承認・決裁がスピードアップしたにもかかわらず、書類不備の軽減により業務処理の確実性が向上しています。今後はデータの分析を行い、さらなる業務効率化を目指します。

電子契約サービス導入による成功事例

  • 契約書のペーパーレス化により契約業務負担が軽減

クラウド人材管理システムを提供する企業では、顧客がコロナ禍でテレワークとなったため、押印してもらえないという事態が発生。また、契約書の確認や修正依頼にも時間がかかっていました。

現状の課題を解決する目的で電子契約サービス導入を実施したところ、手軽さや使いやすさから顧客側からも高評価が得られています。契約書に関する事務作業負担の軽減と同時に、不備を減らすことができ、契約業務精緻化への効果も得られました。

  • セキュリティを担保しながら請求書発行を効率化

国内システムインテグレーター企業の事例では、テレワーク中心となり、請求書の印刷・郵送が困難になったため、請求書をPDF化してメールしていましたが、運用効率が悪く、確認工数の増大もあり、担当者の心理的負担が課題となりました。

電子契約サービス導入後は請求書のペーパーレス化実現により、セキュリティを担保しながら、請求書の発行業務を大幅に効率化。作業時間が1/5に短縮され、パスワードの自動生成・付与機能によりセキュリティ面でも安心感があると各方面からも好評です。

ペーパーレス会議システムによる成功事例

  • 老朽化したPC入れ替えに合わせ、会議システムとタッチ操作PCを導入した自治体

地方自治体の事例では、PC入れ替えに合わせてタブレット的に使用できるPCを導入したことをきっかけに、職員のITリテラシーの向上を目指し、会議のペーパーレス化を実施しています。

会議専用システムの導入も行い、会議直前の資料差し替えや会議後の資料一括削除が容易となりました。職員の間では、スクリーンに資料を投影してプレゼンをするのと同じ使用感で会議を進められるということで、画面上の資料へのレーザーポインター機能も好評です。

システムの活用により、紙資料で会議を行っていたときと変わらない環境が維持されています。

  • 多数部署における会議をペーパーレス化

老舗建設企業の事例では、社内会議で配布するコピー用紙の削減を目指し、ペーパーレス会議システムを導入しています。約260種類の会議と約100の部門で利用したところ、年間約250万枚分の印刷費と人件費のコスト削減効果が得られました。

会議ごとに発生する大量の資料の作成や印刷、ファイリングといった作業負担が大幅に軽減し、事務局の業務負担の改善に貢献しています。

コミュニケーションツールによる成功事例

老舗和装関連企業では、業務日報をチャットツールに変更し、効果を上げています。

従来使用してきた紙の報告書では半日以上のタイムラグがあり、情報共有が遅れることが課題となっていました。コミュニケーションツールの導入により、リアルタイムでの状況把握が可能となり、トラブル時の対応も迅速化しています。

また紙の日報と比べて心理的なハードルが下がり、報告書の提出率が向上したことも大きな収穫です。

ペーパーレス化の方法については、「ペーパーレス化を進める方法は?7つのステップと成功ポイント・注意点」をペーパーレス化に役立つツールについては、「ペーパーレス化のツールにはどんなものがある?種類と機能、選び方を紹介」をご参照ください。

成功事例からペーパーレス化取り組み後のイメージをつかもう

ペーパーレス化の成功イメージがつかめれば、自社に適した取り組み方への道筋が見えてきます。企業には個別の特性や事情があるため、すべての企業に当てはまる方法はありません。成功事例からヒントを得ながら、自社なりにカスタマイズして、最も高い効果が期待できる手法を選択していくことが大切です。

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