文書管理はなにのために行う?その目的と効率的なやり方を紹介

文書管理はなにのために行う?その目的と効率的なやり方を紹介

業務効率化

文書管理は、企業において業務をスムーズに進めるために重要な業務です。

単なる事務作業の1つとして軽視されていた時期もありましたが、近年は情報管理や業務効率化の重要性が理解されるとともに、文書管理の重要性も認識されるようになってきています。

ここでは、文書管理の概要や効率的な文書管理の方法について紹介します。

文書管理とは

文書管理(書類管理、ドキュメント管理)とは、業務上発生した文書を管理することです。具体的には、この後紹介する文書のライフサイクルにおいて、段階的に管理することを指します。

管理する文書の内容は、会社情報や顧客情報、履歴書や契約書、経理・決算書類などさまざまで、紙だけでなく文書の電子ファイル、データなども含みます。

社内で取り扱う文書の種類の例は、「社内文書の種類を把握し文書管理の最適化に役立てよう」でも紹介していますので、ぜひご参照ください。

文書のライフサイクル

次のような文書のライフサイクルにおいて、文書が必要な間はすぐに取り出せるようにしておき、不要になれば適切に廃棄する必要があります。

  1. 発生:作成、取得
  2. (必要であれば)文書の電子化
  3. 活用:閲覧、検索、出力、配信、伝達、共有
  4. 保管:活用度が高い文書
  5. 保存:活用度が低い文書
  6. 廃棄または長期保存

共有文書と個人文書

企業で発生する文書は、共有文書と個人文書といった分け方もできます。先ほどから紹介している文書管理の対象となる文書というのは、基本的に業務上で発生する共有文書のことです。

  • 共有文書
    社員全員、もしくは部署内のメンバーなどで共有される文書です。
    必要な人全員が見られるように、共有のフォルダやキャビネットに保管(保存)・管理されています。
  • 個人文書
    個人が作成または複製し、デスクやパソコンのなかなど手元に置いている文書です。
    個人の資料やメモ、共有文書の下書きなど、さまざまなものがあります。

ただし、個人文書のなかにも本来共有すべき共有文書が放置されている場合もあります。一方で個人文書も含めてすべて共有文書としてしまっては、文書が膨大になり、適切な管理ができません。そこで、個人文書と共有文書をどう定義して分けるのかといった社内規程が必要になります。

文書管理規程について詳しくは、「文書管理規程とは?ルール決めの方法と策定の際のポイントを解説」をご覧ください。

なぜ文書管理が重要なのか

では、なぜ文書管理が重要なのでしょうか? 適切に文書管理をすることで、必要な文書をすぐに取り出せるようになるためです。さらに、次のようなメリットもあります。

  • 業務効率化
    必要な文書をすぐに取り出せるように、文書の種類や文書をやり取りした相手に応じてわかりやすく整理することで、文書を探す時間を短縮できます。これは作業時間の削減、業務効率化につながります。
  • コスト削減
    文書管理を徹底することで、文書を保管(保存)する手間や管理する人件費などを削減できます。
    文書を電子化すると保管(保存)するスペースの削減も可能です。加えて、業務効率化によるコスト削減も期待できます。
  • リスクマネジメント
    適切に文書管理を行うことで文書の所在や利用者が明確になります。それによって、文書からの情報漏えいや紛失、消失の回避、改ざんのリスクを減らすことなどが可能で、コンプライアンスの強化にもつながります。

会社で取り扱う文書についてはいずれも適切に管理して適切に保管(保存)する必要がありますが、特に契約書のセキュリティ対策は重要です。契約書のセキュリティについては、「契約書の保管方法はどうするのが適切?アナログの場合と電子文書の場合」をご参照ください。

  • 顧客満足度の向上
    適切に文書管理を行うことで、顧客からの問い合わせに素早く正確に対応できます。これはサービス品質の向上、ひいては顧客満足度の向上につながります。

文書管理の方法

文書管理を適切に行うには、文書を整理して適切に保管(保存)するワークフローを確立することが重要です。適切な文書管理の手順の一例と、ポイントを紹介します。

適切な文書管理の手順の一例

  1. 文書管理規程の策定
    社内すべての部署で共通して利用する文書管理の規程を策定します。具体的な内容は文書の分類・保存基準、保存期間、アクセス制限、運用規程などです。                                         統一したルールがあれば、部署をまたいだ情報共有もしやすくなります。
    逆に、個人や部署ごとに文書の分類方法や保管(保存)方法が異なれば、他の人や部署からは文書を探すことができません。

    文書管理規程についての詳細は、「文書管理規程とは?ルール決めの方法と策定の際のポイントを解説」をご覧ください。
  2. 文書管理についての教育
    各部署で講習を行い、文書管理の意義や、文書管理規程を全社に周知します。
    新しく社員を採用するときには、導入教育で文書管理規程についても触れます。
  3. 文書の発生
    必要な文書を社内で作成したり、取引先から取得したりします。
  4. 文書の分類
    文書管理規程に沿って文書を分類します。
    種類別、部署別、取引先別など、さまざまな分類方法がありますが、どういう基準で分類するかは文書管理規程で定めておきます。
  5. 文書の保管(保存)                                                       文書を保管(保存)します。
    紙の文書であれば分類ごとにファイリングし、電子文書であれば共有文書を保管(保存)するサーバーに、フォルダに分けて保管(保存)するのが一般的です。
    必要なときにはすぐに取り出せるようにしておきます。
  6. 文書の活用
    閲覧、配信、共有など、必要に応じて文書を活用します。
  7. 文書の廃棄
    保存期間が過ぎた文書や不要な文書は廃棄します。

適切な文書管理のポイント

文書管理のポイントは、紙の文書でも電子文書でも共通です。

  • 部署ごとに文書整理を行い、文書管理規程に従って分類する
  • 重要文書と一般文書を区別し、保管(保存)方法を変える
  • 重要文書や機密文書には、保管(保存)場所、扱える社員の指定など、適切なアクセス制限を設ける
  • 文書の保存期間を明確にし、廃棄期限についても規定する
  • 文書管理を適切に行うためには、文書をためすぎないようにして、不要な文書は廃棄する

文書の保存期間

企業の扱う文書のなかには、法律で一定の保存期間が決められている法定保存文書があります。法定保存文書は、保存期間の間は破棄することができません。また、期間が過ぎたら適切に処理する必要があります。

  • 保存期間が5〜10年
    以下のように、主に税務関係・経理関連の文書が当てはまります。                                            5年:監査報告書、会計監査報告書                               7年:取引・決算に関する書類                                                 10年:会計帳簿に関する書類、計算書、事業に関する書類
  • 保存期間が2~5年
    以下のように、主に人事や労務関連の文書が当てはまります。                                               2年:雇用保険、健康保険、厚生年金保険に関する書類                                       3年:労働者名簿、労災保険に関する書類、労働保険に関する書類

法廷保存文書以外の文書については特に保存期間を決められてはいませんが、適切な文書管理のためにも、ぜひ社内の規程を作成しておきたいところです。

文書管理のシステム化

文書を電子化して文書管理システムで管理すれば、文書管理がさらに効率的になります。保管(保存)が容易になり、検索や共有もしやすくなるためです。

さらに、次のようなメリットもあります。

  • 文書のライフサイクルに従った管理がしやすい
  • 文書のセキュリティレベルを上げることができ、情報流出を防ぎやすい
  • 文書ごとに保存期間を設定することで、不要になれば速やかに廃棄できる
  • ペーパーレス化を進め、コスト削減につなげることができる
  • テレワークにも対応しやすい

文書管理システムの詳細は、「文書管理システムがあれば文書管理が楽になる!システム比較5選」をご覧ください。

電子帳簿保存法とe-文書法に注意

文書管理を電子化するときには、電子帳簿保存法とe-文書法にも注意する必要があります。

  • 電子帳簿保存法
    税法上必要な書類を電子データ(電磁的記録)で保存することを認める法律です。
    改ざんのリスクを減らして電子データの真実性を確保するため、タイムスタンプで書類の作成日時を印字する必要があります。
    対象となるのは、現金出納帳や仕訳帳などの帳簿、決算書、領収書や請求書など、税法上、紙での保存が定められている会計帳簿や国税関係の書類です。
  • e-文書法
    本来紙で保存すべき文書を、電子データとして保存することを認める法律です。タイムスタンプは必要ありません。
    対象となるのは、国税に関係しない文書・帳簿で、保存が義務付けられたさまざまな文書です。

文書管理のルールを定め全社で管理を徹底しよう

文書を部署ごとに囲い込んで独自のルールで運用していては、文書管理を適切に行うことができません。全社の文書を統一した規程に従って一元管理することで、業務効率化と文書に関するリスクマネジメントが実現可能です。そのためには、全社共通の文書運用ルールを定めて周知する必要があります。

全社規模の文書管理を効率的に行うには、文書の電子化と文書管理のシステム化が有効です。文書管理システムを選ぶときには、全社で使うことを前提に、どの部門でも使いやすいツールを選びましょう。

例えば「RICOH Desk Navi」のように、全社の情報を一元管理できる"業務ポータル"のようなツールはいかがでしょうか。文書ライフサイクルに沿った管理が容易で、強力な検索機能も備えています。

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