ペーパーレス化に乗り遅れないために知っておくべきこと

ペーパーレス化に乗り遅れないために知っておくべきこと

業務効率化

新聞や雑誌も紙ではなく電子版での発行や閲覧が増えるなど、身近なところでもペーパーレス化がどんどん進んでおり、企業や事業所からもいずれ紙がなくなっていくのではないでしょうか。今回は、ペーパーレス化の流れに乗り遅れないために知っておくべきポイントをまとめてみました。

ペーパーレス化を推進する法律

ペーパーレス化というのは、これまで紙で保存していた情報や書類をIT技術により電子化して保存する方法に切り替えることで、経済産業省も企業の競争力強化につながるとして奨励し、2005年にe-文書法が施行されました。

e-文書法は、法人税法、商法、証券取引法などにより、これまで紙の原本の保存が義務付けられていた書類を、一定の要件を満たしたうえで、スキャナで電子データ化し、ハードディスク、CD、DVDなどの記録媒体に電子保存することを認める法律です。

一方領収書や請求書、発注書など国税に関する文書に関しては、1998年に電子帳簿保存法が施行されてパソコンで作成した電子文書による保存が認められていましたが、2005年にe-文書法が施行されたことにともなって改正され、スキャンした文書の保存も可能となりました。スキャンする担当者の電子署名とタイムスタンプの付保や、書類額面3万円以下に限る、またカラースキャンとするなどの要件がありましたが、2015年の改正では、金額の制約や電子署名の義務が廃止され、また重要書類を除いて白黒スキャンでの保存も可能となっています。

こうした法律により、法人でのペーパーレス化が進めやすくなる環境が整ってきました。

ペーパーレス化のメリットとデメリット

ペーパーレス化によるメリットやデメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。

ペーパーレス化のメリット

  • コスト削減: 紙代、レーザープリンター使用費やトナー購入費などの印刷代、ファイル代、書庫にかかる費用が削減できる。
  • 業務の効率化とサービス向上: データ化された書類や情報は、検索やソート機能の利用により紙よりも管理が容易。過去の書類を捜す手間、書類を整理する手間が省ける。さまざまな書類による手続きを必要とする業界では、業務のスピードアップにより顧客満足度が向上する。
  • 情報管理とセキュリティ: 電子保存の際にパスワードをかけることも可能で、データの保存場所のセキュリティを確実にすれば紙のような紛失リスクが防げ、情報漏えいはないかのチェックも容易。また火災や地震などの災害による喪失も回避でき、事業継続計画(BCP)につながる。
  • コンプライアンス管理: 内部統制システム確立がしやすい。
  • 環境への貢献: 最近は再生紙も使われるようになっているものの、紙の基本原料である森林伐採抑制につながる。また廃棄物減少により、廃棄物処理における環境汚染も緩和される。

こうしたメリットはどれも、企業の競争力強化や、アピールポイントにつながります。

ペーパーレス化のデメリット

  • 過去の書類も全て電子化しようとすると、かなりの時間がかかる。
  • 電子保存したシステムがダウンしてしまうと、閲覧もできない。
  • 閲覧できる範囲が画面の大きさに限定されるため、紙のように全体を見られない場合がある。

ペーパーレス化実施にあたっての注意点

いろいろとメリットのあるペーパーレス化ですが、ペーパーレス化はすぐにできるものではありません。ペーパーレス化を進める際には、以下の点に注意する必要があります。

目的を明確にする

ペーパーレス化の目的は、単に紙の量を減らすことではなく、ペーパーレス化により企業の競争力を強化して業績向上につなげることであることを意識し、社員全員にその目的を理解してもらいましょう。

何が電子化できるか要件をチェックする

全ての書類を電子化できるというわけではなく、紙による保存が法律で義務付けられているものもありますから、チェックが必要です。また一口に電子文書と言っても、最初からパソコンで作成した電子文書は認められていても、書類をスキャナでPDF化した電子文書は認められない場合がありますから、要件もチェックする必要があります。経済産業省の以下のサイトで電子保存が可能な文書や要件がまとめられているので、ご参考ください。

e-文書法によって電磁的記録による保存が可能となった文書一覧

改正された電子帳簿保存法でも、真実性と可視性を確保するために、訂正や削除の履歴保持や使用するITシステム関連書類の保持、検索機能の確保、画面やプリンタなどへの出力機能の確保などの要件が定められていますので、こうした点もチェックする必要があります。

電子化の方法を設計する

電子文書を保存する作業においては、数字も入れた検索しやすいファイル名をつけておくことが重要です。どの文書にどのようなファイル名と連番をつけるか、あらかじめ設計しておく必要があります。

 

作業環境全体を見たペーパーレス化が大切

企業の競争力強化につながるとして、ペーパーレス化は政府も奨励し、推進のための法も整備されてきました。コスト削減だけではない色々なメリットと何がペーパーレス化できるかを見直し、正しくペーパーレス化を進めましょう。

参考: