働き方改革に取り組む前にやるべきことは?企業の導入事例も紹介!

働き方改革に取り組む前にやるべきことは?企業の導入事例も紹介!

働き方改革

近年、働き方改革が注目されています。政府の提唱で始まった取り組みですが、働きやすさを推進している中堅上場企業ほど、直近5年間の従業員数の増加率ランキングの上位にあること、また、こうした企業は売上高の伸びも大きいことが明らかになっています。そこで、企業にとってもはや無視できない働き方改革に取り組むためにやるべきことや、働き方改革の導入事例をご紹介します。

なぜ働き方改革なのか

働き方改革は2016年に安倍内閣の提唱で始まったものですが、その背景には少子高齢化問題があります。

今のまま少子高齢化が進むと労働力が不足するのは必至であり、労働力が減少すれば国の経済も停滞してしまいます。労働力を補うためには、職業に就いていない、あるいは事情により職を離れた女性や高齢者の活用が必要になりますが、現在の日本はさまざまな事情を抱えている女性や高齢者にとって働きやすい環境にはなっていません。

そこで、女性や高齢者だけでなく誰にとっても働きやすい環境を整備して労働力を確保し、さらにワーク・ライフ・バランスを改善することで少子化にも歯止めをかけることが、働き方改革の目的となっています。

働き方改革の取り組みとしては、長時間労働の是正、有給休暇の取得促進、在宅勤務の推進など、さまざまな形や工夫が見られるようになってきました。

働き方改革に取り組む前にやるべきこと

「改革」というとなにやら難しい響きがありますが、企業として無理なく働き方改革に取り組んでいくためには、どのようにすればよいのでしょうか。

まず、経営者をはじめとする管理職や社員の意識付けが必要です。経営者は、働き方改革への取り組みの意思表示をしっかりと全社員に対して行い、管理職を含む社員全員の協力が必要であることや、経営者が取り組みを監視する体制にあることを認識させることが大切です。

そのうえで、働き方改革の戦略プランをたてるため、現状の把握と問題点を洗い出す必要があります。平均月残業時間はどのくらいか、どの部門に残業が多いか、残業に見合った成果が出ているのか、効率化できる業務はあるか、出産や育児の年齢にある女性社員の比率や女性・男性社員の育児休業の取得率、そうした女性の現在の離職率、社員の平均通勤時間、テレワークできる仕事内容かどうかなどをポイントに、勤務体制をチェックしてみましょう。その際に、管理職視点からだけではなく、社員の意見も取り入れることも重要です。

そして、他社の事例も参考にして、どのようにすれば改善できるかを策定します。しかし、企業の業績を犠牲にしてまで働き方を改革する必要はありません。例えば、残業を減らしたり休暇を増やしたりしても、中長期的には企業の利益向上につながるように、業務の効率化の工夫も必要です。

働き方改革の事例

ここで、働き方改革の取り組み方の参考として、実際に働き方改革を実現している企業の事例をご紹介します。

生活協同組合コープみらい:フレキシブルな休暇制度の考案

小売・卸売りのコープみらい社では、社員のライフサイクルに合わせて休暇制度を作る取り組みを行っています。たとえば、妊娠中の女性社員のための「つわり休暇」や「子の看護休暇」など、女性の働きやすさを目指した有給休暇制度を施行しています。つわり休暇は通算14日、小学校入学前の子の看護休暇は一人の場合は年5日まで、二人以上は10日まで、また、半日単位で取得可能といった柔軟性をもたせて休暇取得を奨励しています。同社では今後は女性社員だけでなく、管理職クラスが働きやすくなるように、「介護休暇」の拡充も計画されています。

SCSK株式会社:労働時間の見直しと効率化

情報通信のSCSK社では、働き方改革に向けた仕組みづくりを2013年から始めています。主な取り組みは長時間労働の削減で、「スマートワーク・チャレンジ20」として、平均残業時間月20時間以下などを目標として掲げています。取り組みの初期には残業手当減少分をインセンティブとして利用したり、上司による長時間労働の改善報告書の提出などの工夫を凝らしたり、2012年度には26時間10分だった月平均残業時間が2014年度には18時間16分と、大きな削減を達成しています。

協和発酵キリン株式会社:在宅ワークの実施と意識改革

協和発酵キリンでは、「ワーキング・スタイル変革」として2012年からまず管理職を対象に在宅勤務のパイロットスタディを実施し、2014年4月から正式導入しました。2016年度からは、入社3年目以上の社員であれば在宅勤務を週最大4日まで利用できるようにしています。この結果、2014年度は25名だった在宅勤務利用者は、2016年度には84名に増えるという実績を達成しています。そのほか、本社では社員の席をフリーアドレス化し、20時の一斉消灯以後の残業には申請と残業スペースでの勤務を義務づけることで、「別の場所にいても勤務ができる」という意識改革を推進しています。

社員働きやすさを見直すことからはじめよう

働き方改革は単に残業時間を減らすことだけではなく、社員のライフスタイルに合わせた休暇制度の拡充、テレワークなど、さまざまな取り組みが考えられます。オフィスのレイアウトを働きやすく変えてみることや、休憩スペースの整備なども、働き方改革の最初の一歩につながります。まず現状を把握して問題点を見つけ出し、できるところから始めるのが、成功と長続きにつながるコツといえます。

 

参考: