失敗しない!社内SNSの活用方法

失敗しない!社内SNSの活用方法

業務効率化

大きなファイルが送れない、返信がなければ相手が開封したかどうかがわからないなど、電子メールに不満を感じる場面は多々あります。そこで注目されるのが社内用のSNSです。使い方は個人利用のSNSとほぼ同じですが、その特性がビジネスシーンで注目されています。今回はその活用を検討するために、利用するメリットと活用方法についてまとめてみました。

スピードが求められる現代のコミュニケーション

まずは、ビジネスシーンでのSNSに注目が集まっている背景として、ビジネスコミュニケーションの変化について考えてみましょう。

通達、朝礼、対面ミーティングでは不足

ITツールが普及する前は、集まった社員に、朝一番の会議や朝礼で伝達事項を告げるのがもっとも確実で速いということもあったでしょう。しかし、そこで共有される情報は管理部門からの通達などが中心です。それらは社内ポータルでも十分に伝わるので、現在はもっとビジネスの速度や質に関わる情報の共有が求められるようになりました。

報連相はもう古い?

かつてはビジネスパーソンに徹底されていた「報連相」(報告、連絡、相談)は、主に上司が部下に対してコミュニケーションの重要性を説いたものでした。しかし、部下の行動に依存し、情報が誤って伝わったり、上司が不在で連携が取れなかったりと、必ずしもベストな方法とは言えなくなっています。スタッフの動きが「報連相」なしで、できればリアルタイムの状況が把握できることが重要です。そのために上司と部下の間だけではなく、プロジェクト参加者全員(関係者)が情報や状況の共有をすることが求められ、「見える化」されることがポイントだと認識されるようになりました。

情報は共有化し、伝達速度を速めてこそ有益

情報共有とは、会議の開催数を増やすことではありません。対面の時間がなくても常に情報発信ができ、関係者が受信できることで代替できます。このようなことができれば、進捗把握や指導のためのミーティングを減らすことができます。
マニュアルや研修、OJT(現場訓練)もノウハウの伝達と共有の一般的な方法です。しかしいずれも、従来の環境では、そのための時間を特別に用意しなければなりません。
これらの課題を解決するのが社内SNSなのです。

社内SNSのメリットとは

社内で電子メールを活用している企業は多いでしょう。では、電子メールを超える、どのようなメリットがSNSにはあるのでしょうか。

便利なようで今は不便な電子メールの限界

電子メールの不便な点として、以下のようなものがあります。

  1. 共有グループを作る際のアドレス登録や管理の手間。
  2. 受信フォルダでのメールの混在、業務ごとの分類や自動転送などの設定のわずらわしさ。
  3. アドレスの間違いで未送信になったり無関係の人に送信したりするリスク(情報漏洩)。
  4. 受信確認には返信が必要であり、送信者、受信者ともに気づかないケースが発生。
  5. 画像や音声、動画などの大容量データの送信に不向き。
  6. 営業やスパムメールなど外部からの不要なアクセス。

上記のような点を不便に感じたことは、ビジネスパーソンなら誰でも一度や二度は経験があると思います。

SNSの機能とビジネスに役立つ理由

これら電子メールの課題に応えるのがSNSです。

そもそもSNSは仲間同士のグループを築くパーソナルなものです。社内用のSNSでも部や課、あるいはプロジェクト単位でグループを作ることができ、それぞれがクローズドされた環境で情報交換ができます。グループの画面には、グループの必要情報しか表示されないので、通達や営業のメールに埋もれて見落とすなどがなくなります。アドレスの間違えもないので、電子メールより機密性に優れています。

「言った、聞いていない」に関するトラブルは電子メールでも発生します。送受信したメールをすべて開封して読むのは時間の浪費です。その点SNSは時系列に記録が残り、画面をスクロールさせるだけでメッセージを確認できます。ほかのスタッフからも注意や意見が入る可能性があり、相互補助も期待できます。「メールタイトルが悪いから気づかなかった」という言い訳もなくなるわけです。
既読表示機能がある場合は、受信者は受領の返信をしなくて済み、送信者もリマインド・メールの手間が省けます。

そして、送信できるファイル容量の制限が少ないので、コミュニケーションの密度と速度を高められるのもSNSの強みです。製品の機能を説明したり、仕事の指示をしたりする際に、画像や動画で示すとさらに伝わりやすくなります。言葉が足りなかったために発生する齟齬も防ぐことができるでしょう。

さらに、もっとも効果を期待できるのが情報共有です。グループの誰かの質問への回答を全員が閲覧できるので、その場で情報共有ができます。つまり、誰かの疑問や問題点も他の人の気づきを促す機会を増やすことに直結するわけです。こういったことにより、マニュアルや研修を最小限にできるかもしれません。

またSNSはデバイスを選ばないので、外出先のスマートフォンでも活用できます。情報の伝達がいっそう早く、確実になるわけです。

社内SNSの利用の実際

便利なSNSですが、利用上の注意点についても触れておきましょう。

導入と運営上の注意

まず、社内SNSを社内掲示板のような役割に限定してしまわないことです。社内SNSはメディアではなくコミュニケーションツールです。ビジネスの現場で実践的に使ってはじめて導入効果が得られるのです。社内コミュニケーションはすべてSNS、電子メールは外部との連絡のみにするなどの思い切った設定も必要でしょう。

さらに、これまで以上に部下や上司からの連絡がSNS経由で増えると予想できます。電子メールのように「了解しました」と返信するルールを無くすなどの見直しも必要です。

発言が一部の人に偏らないようにすることも重要です。SNSの導入が業務の効率化になることを、具体的に指導する必要もあるでしょう。

代表的な社内SNS

最後に、代表的なビジネスで使うSNSについて見てみましょう。

Chatter

SNSの基本的な機能のほか、経費などの申請と承認のためのワークフローのような機能や、商談のステータスを整理する案件管理のような役割を担うフィード機能が特徴です。Web上でファイル共有ができ、編集者を限定したいものはプレビューのみで公開することもできます。共同作業ではファイルのバージョン管理もできるので、コミュニケーションツールの枠を超えています。おもしろいのはアンケート機能で、参加者の意思や考え方をSNS上でまとめることもできます。
https://www.salesforce.com/jp/products/chatter/overview/

Yammer

このソフトの強みはマイクロソフト・オフィスとのシームレスな運用環境です。ネットワーク上の共同作業が前提で、Yammerはそのコミュニケーション部分を担います。マイクロソフト「SharePoint」によるドキュメント管理をはじめ、データ、コンテンツ、アプリケーションをネット上で共有・共用できます。目指すところはコラボレーション支援であり、遠く離れたオフィスや移動中の人とデータや動画をもとに議論するなど、電子メールに替るツールにとどまらない仕様になっています。
https://www.microsoft.com/ja-jp/yammer/

Talknote

国産の社内SNSです。メールにはない機能として、メンバーのプロフィール紹介機能、20MBまでのファイル送受信、既読・未読の一覧表などの管理機能に加え、スタンプ機能や「いいね」ボタンなど、SNSらしさもあります。アクセス数、時間、投稿回数などのデータを分析し、利用者の仕事のモチベーションを探れるというのもおもしろい試みです。国産のシンプルでわかりやすいコミュニケーションSNSツールという強みを活かし、利用企業数は2015年10月に20,000社を超えています。
https://talknote.com/

導入しやすいICTツールのSNS

ICTの新規導入というと予算や専門スタッフの確保が気になるところです。SNSは基幹システムや業務アプリケーションとは異なり、システムの再構築が必要なものではありません。クラウドで提供されおり、無料で使用できるものも少なくありません。チーム活動が必要な営業、サービス、技術開発の部署などで試しに使って評価してみることからはじめてはいかがでしょう。

参考: