企業にも労働者にもプラスに!残業削減のメリットや方法

企業にも労働者にもプラスに!残業削減のメリットや方法

働き方改革

残業時間の削減は、働き方改革の中枢となる課題です。しかし、山のようにある業務を前に、いくら「残業削減」を謳っても、明確な施策がなければ簡単に成し得ることではありません。残業を削減することによって得られるメリットを理解したうえで、具体的にどのように対策を行えばよいか、事例も含めて紹介します。

残業を削減するメリットとは?

残業を削減するメリットとしては、主に以下が挙げられます。

  • 人件費・光熱費削減

    残業代をなくすことによって人件費が減るだけでなく、残業で消費される電気代などの光熱費も節減できます。

  • 生産性の向上

    時間に限りがあることを意識するため、集中して業務の効率がアップし、結果として生産性の向上につながります。

  • 労務リスクの削減(心身の健康維持)

    身体への負担や、精神的な負担も軽減されるため、過労死や病気を防ぎ、労務リスクが軽減されます。また、身体的、精神的負担が軽減されることは、集中力の向上や、ケアレスミスの防止にもつながるため、この面でも生産性の向上が期待できるでしょう。

  • ワークライフバランスの実現

    社員にとっては自分の時間ができるため、家族と過ごす時間や趣味に使える時間が充実し、育児や介護と仕事の両立も可能となり、ワークライフバランスにつながります

  • 個人のスキルアップする時間の確保

    残業がなくなった時間を利用して、個人のスキルを磨きたいという社員も出てくるでしょう。社員個人のスキルが磨かれれば、社員自身だけでなく、会社にとっても利益につながります。

このように残業を減らすことは、経費削減といった直接的なメリットと、社員が健康的で充実した生活を送ることで仕事にも好影響を与え、会社がうまく回るといった間接的なメリットがあります。結果、会社の成長につながるのです。

残業を削減する方法

残業削減の価値が大きいことが分かったからといって「では今日から残業削減!」と叫んでみても、すぐに残業が減らせるものではありません。多くの業務を抱える社員にとっては、「早く帰れ」と言われても、対応すべき山積みの仕事を減らしてもらえない限り、解決にはなりません。表面上だけで残業削減を謳うだけでは、作業時間を確保するために社員が隠れて残業をしたり、仕事を家に持ち帰ったりしてしまい、結局、残業削減が形骸化してしまうというのは、よくある話です。では、どうすればいいのでしょうか?

業務の見直しと適正化

残業の削減に取り組むにあたってまず必要なことは、業務の洗い出しです。残業の理由になっている業務を明らかにすることではじめて、対応策を考えられるのです。すべての業務を確認して無駄がないかをチェックし、本人のキャパシティ以上に業務を抱えているものがあれば、ほかの社員に振り分けます。業務を適正化していくことで、根本的な解決を目指します。
また、現在ではチーム内の業務を「見える化」するツールも進化しているので、活用するとよいでしょう。

強制的に残業をやめさせる

業務の洗い出しをしていくうちに、残業の理由には「社員の意識」が関係していることに突き当たることもあるでしょう。社員は仕事への責任感から残業を続けていることが多いため、ある意味強制的に残業をやめざるを得ない状況にするのも一つの方法です。ノー残業デーの実施や残業をする場合には届け出を義務付けるなど、制度の導入がその施策となります。

業務の負担を軽くする

「時間」という問題だけに囚われていては解決策も限られますが、多すぎる業務の「負担を軽くする方法」という発想で考えてみることが大切です。
例えば、在宅勤務制度を採用すれば、社員の通勤時間の負担を軽くできるだけでなく、育児や介護など家庭の事情で退職を余儀なくされていた優秀な人材にも働き続けてもらいやすくなるため、不足する人材をまかなう助けになるでしょう。
また、最近ではRPA(ロボットによる業務の自動化)やAI(人工知能)によって、機械に仕事を負担してもらう方法も注目されています。RPAは、ホワイトカラーの頭脳労働をロボットが代行するものです。以前から工場などで生産における単純作業は機械が行っていましたが、RPAはオフィスで行う入力作業などの業務を自動化することができます。さらにAIの導入により、一定基準の判断が必要な作業、たとえば検品作業などを自動化することと、データの蓄積を同時に行うことも可能となります。これらはさまざまな作業を軽減、効率化することに繋がります。

残業削減に対する取組みの事例

ではここで、実際に残業削減の取り組みをしている企業の成功事例を紹介します。

クラシコム「絶対に18時に帰る!」

人気サイト「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコムでは、社員は全員18時に帰るというルールを守っています。シンプルですが、「できれば」でなく「絶対に」帰ることを全員に徹底させています。ルールを守るため、社員それぞれが自分なりの工夫をしており、GoogleカレンダーやEvernoteを利用して賢く時間管理をしています。
(出典:8時退社のためにクラシコムスタッフが実践する工夫|北欧、暮らしの道具店

ピコナ「残業チケット制度」

3DCGプロダクションのピコナは、残業削減対策の一環として残業チケット制度を導入しました。21時以降残業する場合には「残業チケット」を使用することを義務付けています。チケットの利用は月5枚が限度。これを越えるとペナルティがあります。この施策が功を奏して、月100時間を超えていた社員の平均残業時間がなんと25時間程度に減少しました。
(出典:残業80%減! これが業界の常識を覆した「残業チケット」|日経ウーマンオンライン

ランクアップ「アウトソーシング活用」

化粧品の通信販売を行うランクアップでは、自社でやるべきことを最小限にし、多くの業務でアウトソーシングを活用しました。採用活動やPR、電話でのカスタマーセンターや製品発送、倉庫保管といったかなりの業務を外注することにより、自分たちにしかできない「考える仕事」に集中できています。
(出典:「女性が辞めない会社」は、全員17時に帰る|東洋経済オンライン

まずは業務の見直しから

残業を減らすことは簡単なことではありませんが、そのメリットだけでなく、「働き方改革」の観点からも企業が取り組むべき急務と言えます。業務の見直しと対策を行い、根気よく実現させていきたいものです。

参考: