会議を制する会社が成長する!優良企業に学ぶ、効率よい会議をする方法

会議を制する会社が成長する!優良企業に学ぶ、効率よい会議をする方法

業務効率化

毎日忙しいビジネスマンにとって、「無駄な会議」は悩みの種。会議は会社の生産性を高める大切な要素であるはずなのに、逆に足かせとなる状況に陥っていないでしょうか? 成長する会社のキーとなるのは会議の仕方かもしれません。そこで、効果を上げている企業の事例から学び、会議を効率よくするためのポイントを紹介します。

会議のよくある問題点

非効率と言われる会議には、以下のような問題点が挙げられます。

  • 会議が長い・多い
  • スケジュール調整が難しい
  • 事前に資料を共有できていない
  • 会議の目的がわからない
  • 発言する人が決まっている
  • 結局何も決まらない
  • 決まったことが実行されない

ほとんどの人がいくつかは心当たりがあるのではないでしょうか。10人が1時間の会議を行うということは、会社にとって10時間分の労働力を会議に費やしているということです。それだけの労働力を費やしていると考えれば、意味のない会議がいかに無駄かイメージしやすいと思います。貴重な労働力をかけるのですから、最小限の時間で最大の効果を上げたいものです。

株式会社ジェイアール東海エージェンシーが20~69歳の男女ビジネスパーソン1000人を対象に行った「ビジネスパーソンの社内会議に関する調査」によると、業績が上昇している会社は積極的に会議を行い、形式も「机を囲んで座りながら」「テレビやウェブを利用」「ランチ/ブレックファスト・ミーティングを活用」など多彩であることがわかります。また、業績と会議との関係についても以下のようなデータが紹介されています。

  • 業績が上昇している会社では、「意思決定をする会議」「問題解決のための会議」「アイデア出しのための会議」などの会議が活発に行われており、会議への参加態度も積極的である
  • 業績が下降している会社では、会議そのものが行われていない場合があり、会議形式の多様性もあまりない

また、業績が下降している会社では、業績の上昇している会社、横ばいの会社と比べて、「目的がはっきりしない」「話が違う方向にずれる」という会議の問題点が顕著に多いという結果が出ています。つまり「会議をしているのに何も決まらない」「なぜ会議をしているのかわからない」といった無駄な会議が業績の悪化につながっている可能性を読み取ることができるでしょう。

(出典)ビジネスパーソンの「社内会議」に関する調査|ジェイアール東海エージェンシー(PDF)

成長する企業に見られる会議の事例

成長する企業の会議はほぼ例外なく工夫されていると言ってもいいくらい、会議は企業の成長に深く関わります。参考として、3社の事例を紹介します。

Google

世界のイノベーティブ企業として君臨するGoogleでは、会議についての独特のルールを定めていて、多くの経営者や従業員が参考にしています。なかでも代表的なルールは以下のものです。

  1. 意思決定を会議まで保留しない

    イノベーションの競争が激しい世界では、意思決定をスピーディーに行うことが非常に重要です。会議の設定には複数のスタッフの日程調整が必要で、それを待っていると判断が遅れます。もし意思決定のために話し合いが必要な場合は、すぐに開催すべきとしています。

  2. 会議の参加人数は最小に

    人数が多いと議論の質やスピードが落ちるとの考えから会議の参加人数はできる限り8人まで、と制限しています。また、会議終了後には、参加者以外の会議内容と関連している社員に議事録を速やかに送付することで速やかな情報共有も行っています。

  3. 会議の意思決定者を明確にする

    その会議において誰が意思決定者かを参加者に知らせます。意思決定者を設けることで「結局決まらない会議」を防止。また、意思決定者はその会議の「オーナー」として会議の目的や参加者の決定、議題を会議の24時間前までに参加者に送付するようにしています。

  4. 議論はデータを基に行う

    個人の好みや政治力といったものではなく、あくまでもデータと事実に基づいて話すことが求められています。そうすることで、話し上手な人ばかりが話すのでなく、参加者全員からの偏らない意見を引き出しやすくします。

  5. 会議を5~10分単位の時間でも設定できるようにする

    会議時間を短くすると、隙間時間での会議が可能になり、スケジュール調整がしやすくなります。またすぐに会議を組むことができるため、速やかな意思決定を可能にします。また、テーマごとに会議を細分化することにより、参加者の人数を抑えてひとつのテーマに集中することができます。

  6. 時間厳守

    効率を上げるために、参加者全員が時間を意識するよう、会議には巨大なタイマーを設置してプレッシャーをかけます。こうすることで、テーマに集中できるようにもなります。

(出典)AppleやGoogleは会議も違う!超有名企業の効率化対策5選|LightWorks

日産自動車

カルロス・ゴーン氏の大胆な合理化と社内構造改革によって倒産寸前から1年で黒字に回復した日産。「V-up」という日産式の会議では、遅い意思決定など日本企業にありがちな自社の問題を挙げて、改善・開発を行いました。

  1. 議事録を作らない

    以前は議事録を作成していましたが、会議後にドラフトを送ると発言の意図や内容の修正、場合によっては決定内容の修正の要望が発生するなど、無駄な時間がかかっていました。そこで議事録は廃止。代わりに大きな模造紙に付箋でアイデアを貼り出し、それを写真に撮影して記録とする方法にしました。

  2. 意思決定者は会議に参加しない

    意思決定者は参加者のなかで最も立場が上位にあることから、その部下たちは気を遣い、腹を割って話せない可能性があります。日産では、意思決定者は会議の最初と最後のみに参加し、参加者が出したアイデアや結論に採択の可否をするという方法を採っています。

(出典)AppleやGoogleは会議も違う!超有名企業の効率化対策5選|LightWorks

サイボウズ

会議に変革をもたらすには、試験的に新しい方法を導入してみるのもいい方法です。働き方改革を社会に先駆けて着手するなどの取り組みが話題のサイボウズ株式会社では、開発部で行われていた39の定例会議を、一週間ほどの期間限定で廃止しました。目的を達成するために意味のある業務だけを行えているか、見直しが必要との考えからです。期間中、話し合いが必要な場合は自社製品であるグループウエア「kintone」や「Slack」を利用して、オンラインでのコミュニケーションを行いました。

試験を通してわかったことは、いくつかあります。

  • 定例会議をなくすことで、突発的な会議を入れやすくなる
  • 朝の会議は集中力の妨げになっている
  • 拠点が遠方のメンバーとは定例会議がないと意思疎通が難しい
  • 何かのプロジェクト進行中には定例会議があったほうがよい

結果、進捗確認は会議でなくてもよく、会議は議論が必要なときだけでよいという方針となり、これまで定例として行っていた会議は、状況的に必要がなければ取りやめるようになりました。

実際に自分たちで体験してみることで、会議の意味などを見直す機会や改善していく実感が得られたようです。

(出典)仕事の生産性を向上させるために「やめたこと」【12社まとめ】|SELECK

会議を効率的に行うポイント

上記の事例などを基に、会議を効率的に行うポイントをまとめました。

準備編

  • 会議のルールを作る
  • アジェンダを事前に共有
  • 資料作りに時間をかけない
  • 参加人数は最小限に

効率的に会議を進めるために、会社の基本ルールを設定することは重要です。
会議中は皆が顔を合わせる貴重な時間として、議論に集中できる環境を整えます。Googleでも行われていたように、会議目的や議題の事前共有を行うとよいでしょう。
ただし、気をつけたいのは資料作りに時間をかけてしまうこと。時間が奪われるだけでなく、資料を発表することで満足してしまい、意義のある議論ができない恐れがあります。
会議に関係ない人が参加すると議論の質が下がる可能性が高くなり、また人数が多いほど脱線しやすく、自由に発言しにくくなることから、芯のある議論のためには最小限の人数にすることが肝要です。

進行編

  • 会議の目的と最終的に得たい結果を明確化
  • 発言しやすい雰囲気づくり
  • ファシリテーターが舵取り
  • 議論を視覚化
  • 実行の責任者を決める

会議がダラダラと進行するのを防ぐため、会議の目的や得たい結果を明確にすると、参加者がそれにむかって議論を集中できます。
アイスブレークなど発言しやすい雰囲気作りで、隠れたユニークな意見を引き出せるようにしましょう。
時間管理も含め、ファシリテーターが舵取りすることで、脱線するなどして議論がゆるみがちになることを修正できます。
また、日産のように付箋やITツールを活用し、議論を視覚化することもよいでしょう。
会議の最後には、得た結果が「やりっぱなし」にならないよう、それを実行する責任者を決めます。

フォロー編

  • 議事録は写真で効率化を図る
  • アンケートなどで振り返る機会を作る

議事録は、会議で話し合った内容を再確認するためのものですが、議事録作成自体が非効率な業務になりかねないため、日産の例のように、可視化した議論内容をデジタルカメラで撮るのはよい方法です。
また、業務を形骸化させないためにも、社内アンケートなどで振り返る機会を作り、見直すことも大切です。

自社の会議を改めて見直してみよう

効率よい会議の方法はひとつではありません。自社の性質や特徴、目指すものによっても変わります。また、会議を行うこと自体が無駄なのではなく、成長している会社はむしろ会議を頻繁に行い活用しているという事実もあります。要は、会議をどのように活用できるかで会社の生産性は大きく変わるということを念頭に、自社の会議を一度見直してみてはいかがでしょうか。

参考: