「働き方改革」とは?その目的を理解して自社に合った働き方改革を実現しましょう

「働き方改革」とは?その目的を理解して自社に合った働き方改革を実現しましょう

働き方改革

現在、政府が推進している「働き方改革」に自社でも取り組もうと計画を立てている経営者の方は多いでしょう。しかし、やみくもに改革を進めてもうまくいく保証はありません。まずは、働き方改革の目的をあらためて認識し、自社ではどのような方法で働き方改革を実現するのかを明確にする必要があります。

今回は、そんな経営者の方に向けて、政府の推奨する働き方改革の大きな3つの目的、働き方改革が及ぼす影響の予測、そして実際に導入する際に活用できる助成金を紹介します。

また、実際に働き方改革の導入で成果を上げた企業の事例も紹介しますので参考にしてください。

「働き方改革」の3つの目的

「働き方改革」という言葉は新聞でもニュースでも取り上げられていますが、どういう内容で、どういうことを改革する取組なのか、よくわからないという人は少なくありません。そこで、まずは現在、政府が推進している働き方改革とは具体的にどのようなものなのか確認しておきましょう。

ここでは働き方改革について「長時間労働の是正」「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」「柔軟な働き方がしやすい環境整備」という3つの目的を軸に、働き方改革が必要になった理由やその背景にも触れてご紹介します。

目的1:長時間労働の是正

働き方改革の大きな目的のひとつとして長時間労働の是正が挙げられます。

長時間労働は労働者に心身的な負担を与え、健康を害したり、働く意欲を失わせたりといった結果を招くことが知られています。人生設計において、労働は経済的な拠り所でもあり、社会貢献できる窓口でもあるはずです。ところが、長時間労働が継続的になると、人生は仕事のためにあるような状態となり、働く意欲を失うことにもつながります。

長時間労働にはさまざまな要因がありますが、ひとつが人口減少です。

現在、日本では、少子高齢化や人口減少が大きな社会問題となっています。特に15~64歳の生産年齢人口の減少は顕著で、国立社会保障・人口問題研究所の発表によると、2051年には生産年齢人口は5,000万人を割ると予測されています。この生産年齢人口の減少は労働者一人あたりの負担増大という問題にもつながっており、労働者の長時間労働も大きな社会問題となっています。

同様に世界的に見ても日本の長時間労働は問題視されており、2013年には国連から日本に対し、長時間労働に従事していることや過労死などが出続けている現状に対する是正勧告も出されています。

さらに、長時間労働による労働者への負担増大は出生率へのさらなる悪影響も引き起こすと考えられています。

長時間労働を余儀なくされるという状況のなかで、出産や育児を行えるだけの時間的、精神的な余裕を持つことができないというだけでなく、同じく長時間労働を行っている同僚への遠慮から、制度として育児休暇などがあっても利用しにくいという職場環境を生み出しているのです。

このような背景を受けて、働き方改革の軸のひとつとして「長時間労働の是正」という目的が設定されました。

そして目的を達成するための取組として、これまでの状況を見直し、改善策が講じられています。

これまでの法律における、長時間労働や時間外労働を抑制するための規定として、「1日の労働時間は8時間以内」「1週間で40時間以内」という労働時間の規定が存在しています。それを延長し、残業を行わせる場合は「36協定」と呼ばれる労使協定書が必要になります。

労使協定がある場合は「1か月に45時間以内」「1年間では360時間以内」に限り残業が可能でした。

ただし、この制度には抜け穴も存在しています。労使協定を結ぶ際に、特別条項が結ばれていれば、実質労働時間を無制限に延長することができるようになっていたのです。

働き方改革の法案(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案)では、この特別条項に関する法律の見直しとして、労使協定に特別条項がある場合でも「1か月の労働時間が100時間を超えない」「2~6か月間のいずれの期間においても平均労働時間が80時間を超えない」という規定を新たに盛り込んでいます。

加えて、それまで中小企業には適用が猶予されていた「月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率を50%以上と定める」という規定についても、中小企業への適用猶予措置が廃止されます。さらに「10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、そのうち5日について、毎年、時季を指定して与えなければならない」といった長時間労働を是正する規定も盛り込まれています。

目的2:雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保

働き方改革のもうひとつの大きな目的として「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」が挙げられます。内閣府が発表している「正社員・非正社員の賃金差の現状」によると、日本では正社員と非正社員の賃金を比較すると、所定内給与額を所定内実労働時間で割った時給の賃金差は、2016年時点で1.5倍、ボーナスや特別給与額を含めた年収全体から計算した時給で比較すると1.8倍もの差があるとされています。

さらに、特定の職種を取り上げ、同じ職種同士での賃金差に注目した場合には、特に大企業において正社員の方が非正社員よりも賃金が高い傾向が強く、勤続年数が長くなるほどその差もますます開いていくという傾向があるとされています。

さらに、賃金差のほかにも、非正社員は正社員と比べ、職業訓練を受ける機会やキャリアアップの機会も少なく、自身の労働力としての価値を高めるという視点でも不利な環境にあります。

このように、非正社員と正社員に賃金、待遇のうえでの差が大きい現状では、男性、女性にかかわらず、妊娠や子育てのために、正社員から比較的時間的な自由のききやすい非正社員に働き方を変えるという方法を選ぶことは経済的な不利益を覚悟することになります。

その結果として、非正社員と正社員の賃金、待遇の差は、出生率の低下、ひいては将来的な生産年齢人口低下を招く要因のひとつとなっているのです。

こういった現状が続いていくことは、長期的に見て国全体の生産力や労働者の質の低下につながると考えられます。また、総務省の調査によると、2017年の被雇用者における非正社員の割合は37.3%と高水準であり、デフレ脱却という視点で見た場合にも、非正社員の賃金的な待遇改善は必須といえそうです。

この状況を是正するため、働き方改革として「パートタイム労働法」「労働契約法」において不合理な待遇差を禁止しています。

具体的には、業務内容及び、その業務における責任の程度と人材活用の仕組みや運用が正社員と変わらないのであれば、非正社員と正社員は同じ待遇をしなければならず、職務内容や人材活用の仕組みに差がある場合にも不合理な待遇差を設けてはならない、としています。

また、正社員と非正社員の間に待遇差が存在する場合に、どのような待遇差が不合理であり、どのような待遇差であれば不合理ではないのかという基準を明確にするため「同一労働同一賃金ガイドライン案」が作られました。

この同一労働同一賃金ガイドライン案では、基本給やボーナス、各種手当について、また昇給や教育訓練、福利厚生などを対象に、原則となる考え方を示しているほか、具体的な事例を挙げて説明がされています。

また、不合理な待遇差がある場合には、労働者がその是正を裁判で争うことができるよう、その根拠となる法律の整備が進められています。

目的3:柔軟な働き方がしやすい環境整備

「柔軟な働き方がしやすい環境整備」も、働き方改革の大きな目的です。これは「労働力人口の増加施策」と言い換えることもできるでしょう。

「柔軟な働き方がしやすい環境整備」は出産や育児、介護、病気の治療などを理由に、これまでは働くことを断念せざるをえなかった人材が働き続けやすい環境を作るほか、高齢者や障害者、外国人労働者など、それまで雇用の枠がなかったところに新たな雇用枠を設けることで労働力人口を確保しようとする取組です。

こうした取組は、十分な効果を示すまでに長い時間を必要とし、また継続し定着しないと効果が期待できない取組でもあります。

実際の取組としては、次のようなものが挙げられます。

テレワーク普及のためのガイドラインの制定

これは、労働条件の明示や労働時間制度の適用と留意点など労働基準法の適用に関する留意点や作業環境整備などに関する労働安全法の適用及び留意点、テレワークの適切な導入や実施を行うための注意点などが定められています。

テレワークを導入した場合の労務管理上の注意点や、すでにテレワークを導入している企業の体験談などのシンポジウムやセミナーの開催

テレワークの導入を検討している経営者や導入後に課題を抱えている経営者向けに、テレワークの活用方法や導入した場合に必要となる労務管理など、事例を交えて説明するセミナーが開催されています。

仕事と子育ての両立のための支援として保育所などの施設の整備

待機児童の解消を目的として、待機児童の多い地域において重点的に公立、社会福祉法人立、公設民営型など、多様な保育施設の整備が進められています。また、学校の空き教室などの公共施設や駅などの拠点となる施設を保育に活用できるよう支援が行われています。

育児休暇等取得の際のハラスメントや不合理な解雇の防止のための取組

育児休業や介護休業、時間外労働や深夜業の制限などを理由に解雇や契約の更新の打ち切り、減給や人事において不利益となる評価を行うことなどを禁止しています。また、企業側に育児休業、介護休業などを理由としたハラスメント防止の措置や体制をとるように定めるなどの取組が行われています。

治療と仕事の両立に関するガイドラインの制定

病気やケガによる療養を必要とする労働者が業務により病気やケガを悪化させることのないよう、仕事場の環境整備や支援等、事業者の取組についてまとめられたガイドラインが制定されています。

障害者雇用率制度と障害者雇用納付金制度

従業員が一定数以上の事業者は法定雇用率以上の割合で、身体障害者、知的障害者、精神障害者を雇用する必要があります。これが障害者雇用率制度です。平成30年の4月1日からは障害者の法定雇用率が2.2%に引き上げられました。

また、常用労働者が100人を超える規模の企業において、雇用率が未達成の場合には、納付金を徴収しています。この納付金は雇用率を達成している企業に調整金、報奨金の形で支給されたり、障害者の雇用促進のための各種助成金として利用されたりしています。この制度が障害者雇用納付金制度です。

障害者に対する職業訓練や職業紹介

ハローワークでは就職希望の障害者に対し、専門職員や職業相談員が、障害の種類や程度に応じた職業相談や職業紹介、職場の定着指導などを行っています。

また、地域障害者職業センターでは、障害者に対して、職業指導や準備訓練、専門的な職業リハビリテーションを実施しているほか、事業者に対しても障害者の雇用管理に関する助言などを行っています。

外国人の就労支援・安定雇用の確保

外国人の就労支援・安定雇用の確保のために、ハローワークに外国人労働者の職業訓練や、事業者向けの支援として、外国人労働者の雇用管理等に関する相談窓口が設けられています。

専門的・技術的分野を持つ外国人の就労促進に向けた各種対策

平成24年5月7日より、高度外国人材の受け入れを促進するため、ポイント制が施行されています。これは高度外国人材の活動を「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」「行動経営・管理活動」の3つに大きく分け、学歴、職歴、年収などの項目ごとにポイント化し、ポイントの合計が70点に達している場合には「複合的な在留活動の許容」「在留期間5年の付与」「在留歴に係る永住許可要件の緩和」などの入国管理上の優遇措置を与えるというものです。

働き方改革が社会に与える影響とは

具体的な対策が実施されている働き方改革の影響について、企業と社員の立場で確認をし、さらデメリットを確認しておきましょう。

企業にとってのメリット

企業にとって働き方改革のメリットとして最も大きいのは人材の定着や新規人材の確保がしやすくなることでしょう。

有給休暇や育児休業、介護休業などが認められやすく、勤務時間も社員一人ひとりに合わせて柔軟に対応できる企業は、社員にとって働きやすい魅力的な企業といえます。就労環境が魅力的であれば、多くの就職希望者が集まるばかりでなく、社員の離職率も下がると予想されます。能力のある人材確保にも優位な条件だといえます。

さらに、柔軟な制度が用意され、社員のワーク・ライフ・バランスが整った会社では作業効率や生産性にもいい影響を与えるとされています。内閣府の経済社会総合研究所の発表によると、国内外の研究成果の結論として「企業におけるワーク・ライフ・バランス施策の導入は、男女の均等施策や人材育成施策などその他の人事施策と相まって、従業員の定着率の向上や就業意欲の向上、ひいては生産性の向上をもたらし、そのことが中長期的に企業業績にプラスの影響をもたらす可能性が高い」としています。

社員にとってのメリット

社員にとってのメリットは仕事と生活を両立が容易になり、ワーク・ライフ・バランスが取れた人生を送ることができるということでしょう。

勤務形態や就業形態が柔軟に認められるようになると、状況に応じて仕事以外に時間を使うことの自由度が高まります。たとえば育児や介護に充てる時間の確保、自身のスキルアップ、キャリアアップのための研修などを自主的に受講する時間、さらに自身の趣味に充てる時間を確保することもできるでしょう。

また、こうした制度が当たり前の社会になると、さまざまな生活の変化があっても、自分の能力を活かせる仕事を続ける人も多くなると考えられます。

つまり働き方改革の実現は、労使双方にとってより柔軟に、効率的に、効果的に能力を活かせる場を創出するということにつながるといえます。

働き方改革導入のデメリット

では働き方改革を進めるうえで出てくるデメリットとはどのようなものでしょうか。ひとつ考えられるのは、働き方改革を急ぎすぎ、現状の業務実態を無視した「残業禁止」など表面的な改革だけを進めてしまうことの危険性です。

たとえば、長時間労働という課題を抱えている企業が、なぜ長時間労働が生じているのかという根本的な原因を見極めないまま、表面的に「残業禁止」を打ち出してしまったとしましょう。

そうすると、根本的な原因は解消されていませんので、社員がこなさなければならない仕事量は変わりません。にもかかわらず残業禁止のため、持ち帰り残業の可能性が高まります。つまり、表面的には残業がなくなったように見えても、社員の負担はむしろ増しているわけです。

このような根本的な解決をともなわない表面的な改革では、効果が得られないばかりか、かえって生産性や業務効率が悪化すると考えられます。

働き方改革を進める場合には、自社において、どのような課題が存在しているかを明確に把握し、その根本的な原因を解消するような改革を進めていく必要があります。

働き方改革を実現するための支援

政府が力をいれて進めている働き方改革ですが、就労環境などを整備するためにはさまざまな経費がかかります。そのことが改革の足かせになっている中小企業は少なくありません。そこで政府は働き方改革に関連する支援策として、助成金制度を設けています。受給には条件がありますので、厚生労働省のホームページや地域労働局のサイトなどでご確認ください。

ここでは時間外労働の上限規制などに対応しようとしている中小企業・小規模事業者に対して設けられて「時間外労働等改善助成金」についてご紹介しましょう。

時間外労働等改善助成金は、2018年4月以前にあった職場意識改善助成金の名称を変えて新設されたもので、5つのコースがあります。

「時間外労働上限設定コース」

一定の条件を満たした中小企業事業主に対して、その費用の一部を助成するものです。

「労務管理担当者に対する研修」「労務管理用ソフトウェアの導入・更新」「テレワーク用通信機器の導入・更新」などの項目が支給対象になっています。

助成金の上限額は、事業主が満たす条件によってそれぞれ規定されていますが、どの場合においても助成金合計が200万円までです。

時間外労働等改善助成金(時間労働上限設定コース)|厚生労働省

「勤務間インターバル導入コース」

一定の条件を満たした中小企業主に対して、その費用を助成するものです。

こちらも「労務管理担当者に対する研修」「労務管理用ソフトウェアの導入・更新」「テレワーク用通信機器の導入・更新」などの項目が支給対象になっています。

助成金の上限額は、勤務間インターバルの時間に応じて異なります。そして、勤務間インターバルの導入にかかった費用の3/4(上限額を上回る場合は上限額)にあたる費用が助成されます。(常時使用する労働者数が30名以下かつ労働能率の増進に資する設備・機器等の経費が30万円を超える場合は、4/5にあたる費用を助成)

時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)|厚生労働省

「職場意識改善コース」

一定の条件を満たした中小企業事業主に対して、その費用を助成するものです。

こちらも「労務管理担当者に対する研修」「労務管理用ソフトウェアの導入・更新」「テレワーク用通信機器の導入・更新」などの項目が支給対象になっています。

助成金の上限額は、事業主が満たす条件によって異なり、最大150万円までが定められています。支給にあたっては目標の達成率で決定されます。また、目標達成に至らない場合でも助成金が支給される場合があります。

時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)|厚生労働省

「団体推進コース」

中小企業事業主で構成される団体やその連合団体が各事業主のかかえる労働者の労働条件を改善するために時間外労働削減や賃金引き上げの取組を実施した場合に、団体などに対して助成するものです。

3事業主以上で構成される団体などが対象であり、「市場調査の事業」「新ビジネスモデル開発、実験の事業」「人材確保に向けた取組の事業」などの項目が支給対象になっています。

助成金の上限は支給条件を満たした取組の経費のうち、「対象経費の合計」「総事業費から収入額を控除した額」「上限額500万円(条件によっては1,000万円)」のいずれか低い方と定められています。

時間外労働等改善助成金(団体推進コース)|厚生労働省

「テレワークコース」

時間外労働の制限や労働時間の設定改善などを目的にテレワークの導入・実施に取り組むための費用の一部を助成するものです。

「テレワーク用通信機器の導入・運用」「クラウドサービスの導入」「就業規則・労使協定等の作成・変更」などの項目が支給対象になっています。

助成金の上限は実施に必要となった経費の一部を、達成状況に応じて決定されます。目標が達成された場合には1人あたり上限20万円、1企業あたり上限150万円、目標が未達成の場合は、それぞれ上限10万円、100万円です。

時間外労働等改善助成金(テレワークコース)|厚生労働省

働き方改革の事例

働き方改革を導入し、効果を上げている企業の取組を紹介しましょう。

イケア・ジャパン株式会社:非正規雇用者の処遇改善と働き方の自由度向上

取組内容

家具小売りの世界最大手であるイケアの日本法人であるイケア・ジャパン株式会社は、業務拡大を達成するには社員の満足度を高めることが重要であると考え、非正社員・正社員の雇用区分を廃止して、同一労働同一賃金を実現しました。また3区分の労働時間を設定し、ライフプランによって働き方を選択できる環境を整備しました。

効果

雇用区分を廃止し、自由度の高い労働時間を採用したことで、給与水準が高くなると同時に、生活状況に応じた働き方を継続したいという意欲が高まりました。そのため積極的な働き方をする社員が増え、有能な人材の職場定着にもつながりました。なかでも育児や介護のために仕事を継続しにくかった社員が、自由度の高い労働時間の選択をし、離職することなくキャリアを伸ばせるようになりました。その結果、顧客満足につながる工夫や取組を社員が進んで行うようになり、企業目標達成に大きく貢献することとなりました。

イケア・ジャパンの短時間正社員|IKEA

味の素株式会社:長時間労働の是正(スーパーフレックスタイム勤務制度の導入)

取組内容

上限のない時間外労働を規制し、2017年度から一日の所定労働時間を20分短縮しました。2020年度にはさらに15分短縮をめざしています。また、労働者の健康を重視して、自由な働き方に対するパワハラ、セクハラ対策も合わせて実施しました。さらに勤務間インターバル制度を設けて、一定時間は休息を取ることを推進。

時間単位で有給休暇の導入、テレワークの導入を実施しています。テレワークに関しては、対象業務に従事し、会社が認めた場合において、週2日までの自宅勤務が可能となりました。

効果

効率的な仕事の進め方を社員が意識することにより、残業時間の短縮につながっています。また社員の能力にかかわらず、休暇の取り方、働き方によって評価をしない風土の構築を促進したことで、社員の満足度や信頼関係が向上し、意欲的な仕事への取組が実現できるようになりました。

社員満足度の高まりが、商品開発、サービスへの視点や工夫に好影響を与え、顧客満足度につながると期待されています。

働き方改革〜味の素流「働き方改革」〜|味の素(PDF)

カルビー株式会社:テレワークなど柔軟な働き方への取組

取組内容

本社においてフリーアドレスを導入したことでITが進み、在宅勤務への抵抗感が社員にも会社内風土としても減少したため、段階的にテレワーク導入を本格化しました。

まず、在宅勤務を全社員が理解するために、マニュアル化しました。在宅勤務で不安要因となる勤務管理については、ルールを作り、徹底。導入については、まず上司から制度を積極的に利用するなど、社会環境作りを意識的に行いました。

効果

男性社員のなかにも育児休暇を取得するなど、ワーク・ライフ・バランスを意識した自己管理ができるようになったと考えられます。また育児休暇からの職場復帰時期が早まり、働くことへの意欲の高まりが見られます。さらに、自社実施の通信教育や啓発セミナーなどへの積極的な参加が見られるようになりました。こうしたことは、生活状況に応じて、継続的なキャリア形成ができることで安心感と信頼感が高まり、自主的な労働態度が形成されたと考えられます。

カルビー株式会社|厚生労働省 働き方・休み方改善ポータルサイト(PDF)

自社の抱える課題を把握し、段階的に取り組むのが成功のカギ

働き方改革に取り組む企業は多いなか、成果を上げている企業がある一方、なかなか改革が浸透せず、成果がでない企業もあります。成果を上げた企業事例を見ると、どの企業も自社に必要な改革はどういったものかを分析していることがわかります。

働き方改革が叫ばれ、助成金の申請もできる状況ですが、まずはどのような改革で、どのような成果を上げるのが自社にとって社員満足度や業績アップにつながるのかを探ってみましょう。そして、トップダウン方式で進めるにしても、社内に改革の意義を周知させ、全社員で取り組むことが大切です。

働き方改革の意義、目的などをあらためて見直し、自社に最適な方法を選んで取り組んでみましょう。

参考: