書類を電子化する6つのメリットと、スムーズな電子化のポイント

書類を電子化する6つのメリットと、スムーズな電子化のポイント

業務効率化

情報の共有や業務のスピードアップのほか、無駄を省く観点からも多くの企業や団体で文書の電子化が進んでいますが、まだまだ文書の電子化が進んでいない企業もあります。これまでの慣例や、電子化への作業の大変さが原因です。今回はこれから文書の電子化を進めるにあたり、知っておきたい電子化のメリットや、スムーズに電子化するためのポイントをご紹介します。

書類の電子化はどこまで進んでいるのか

書類の電子化は、企業ではどこまで進んでいるのでしょうか。現状を知るとともに、具体的に文書を電子化するとはどういうことなのかをみてみましょう。

書類の電子化とはどういうことか

書類の電子化にはふたつの面があります。
ひとつはすでに紙で作成された書類や資料をスキャンしてPDF文書の形で電子化すること。必要なら、PDF文書からWord文書やHTML文書に変換することもできます。
もうひとつは、これまでプリントアウトして紙で作成していた書類をWord文書やCAD/CAM文書など、電子文書のまま使用することです。電子化された文書は社内のネットワークで管理され、必要に応じて閲覧や編集ができます。

書類の電子化についての現状

情報処理学会の研究報告によると、82%もの企業が文書の電子化に関するルールを策定しています。これは大学や官公庁よりもずっと高い割合です。
また書類を電子化する目的の第1位は「法令遵守のため」でした。

(出典)日本の組織の電子文書管理の実態調査|情報処理学会研究報告(PDF)

また日本CFO協会の調査によると、請求書を電子化したいという需要が高くなっています。調査対象となった企業の97%が3年以内に請求書の電子化を導入する意向であることがわかりました。

(出典)コンカー、「請求書電子化、企業の取り組み状況の実態調査(日本CFO協会実施)」結果と考察を発表|SAP Concur

「e-文書法」や「電子帳簿保存法」といった法律の改正が、電子化を促進している側面もあるでしょう。

書類を電子化すると多くのメリットがある

書類を電子化すると、次のようなメリットがあります。

業務効率化、スピードアップ

電子化し、関係者が共有できる所定の保存場所に格納しておけば、同じ文書を一度に複数人で閲覧することが可能です。稟議や決済のために文書を持ち運ぶ手間や時間も省けるので、業務を効率化できます。

必要な書類の検索が簡単になる

紙の文書が減ることで、膨大な資料の中から必要な文書を探さなくてもよくなります。つまり、電子化した文書は文字やキーワードで検索できるので、必要な文書をすぐに利用できるようになります。

共有や共同での編集が楽になる

電子化して共有することで、同じ文書を何通も作成して配布する必要がなくなります。複数人で同時に閲覧したり、編集したりすることもできます。

まだどれが最新の資料なのか混乱することもなくなります。更新履歴を保存しておけば、バージョン管理も簡単です。

文書の保存スペース、保存コストを減らせる

紙が減るので保存スペースも削減でき、空いたスペースを他の目的に使うことも可能です。また、紙や印刷のコストも削減できます。

クラウドを利用すれば、いろいろな端末から利用できる

クラウドストレージに保存すれば、モバイル端末からも文書にアクセスできます。時間や場所を問わず作業ができるので、業務効率化にもつながるでしょう。

コンプライアンスやリスクマネジメントの強化

電子化した書類は紙の書類に比べ、保存しやすくなります。文書を一定期間保存しておくことができれば、信頼性を維持でき、さらにトラブル発生時の訴訟対策になります。電子化して長期保存しておけば、災害や障害発生時にバックアップとすることも可能です。

書類を電子化するためのポイント

書類を電子化するには、次のようなポイントがあります。

書類を電子化する目的を決める

最初に書類を電子化する目的を明確にします。業務効率化やコストカットなど、目的によって電子化した文書の管理方法が異なるからです。
また、電子化の方法や手順も決定します。業者を導入する、高性能なスキャナー新たに導入する、社内にあるスキャナーを使用するなどの選択肢があります。
書類の電子化を請け負う業者もありますが、スキャナーや複合機があれば社内で書類をスキャンしてPDF形式にすることが可能です。紙の文書の元になったファイルがあれば電子文書にすることもできます。

不要な書類を捨てる

書類を電子化する前に、不要な書類や重複した書類を廃棄します。必要な文書のみを電子化します。電子化するコストを削減するためです。
廃棄するときにも、法定保存文書の扱いや情報漏えいには注意し、どの文書が不要なものかを明確にしておきます。

管理方法を決める

文書を電子化する前に、ファイルをどのように保存して管理するかを決定します。
重要なのはファイルの名前や保存場所です。あらかじめ日付や担当部署、ファイルの種類などを基にファイル名のつけ方規則や分類方法のルールを作成しなくてはなりません。これらのルールを作ることによって、電子化した文書が正確に保存され、また文書を検索しやすくなります。整理された環境ができれば、業務効率化を実現できます。
ファイルの保存方法や共有方法も決定します。保存方法は、社内のファイルサーバーに保存してバックアップを用意するか、モバイル端末からもアクセスしやすくするためにクラウドストレージを利用するかのどちらかがよいでしょう。両方を併用し、使い分けることもできます。

スキャンできる複合機があれば、特別な機器や業者は不要

過去の書類の電子化は、複合機のスキャン機能を利用すると低コストに実現できます。画像内の文字まで読み取りたい、データ内の数字も検索できるようにしたいなど、高品質なデータを作成するためには機材を新規導入する必要もあります。
スキャンを始める前には、すべての文書を同じサイズ(たとえばA4)で揃えるのか、付箋や追加データの扱いはどうするのかなど、スキャンデータの仕様を決定します。

法令にも注意

企業には、会社法、商法、税法などさまざまな法律にしたがって保存するべき文書があります。これらの法定保存文書をどのように取り扱い、どこに保存するのかも重要です。法務部門に確認し、コンプライアンスを遵守できる形でデータを保存する必要があります。

最初は手間と費用がかかるが、効果は大きい

書類の電子化は、最初に大きな手間がかかります。しかし、新しい書類だけを電子化するのでは、効果は半減です。電子化のポイントを押さえて一気に導入することで、電子化のメリットを実感し、業務の効率化につなげましょう。

参考: