企業で使うクラウド どんな種類があるの?

企業で使うクラウド どんな種類があるの?

クラウド活用

日常生活でも「クラウド」という言葉をよく聞きますし、活用している人も増えました。これまで自分のパソコンやモバイル端末に保存していた大量の画像や動画をクラウドサービスに保存するのは、もはや当たり前になりつつあります。そんなクラウドサービスの普及に伴って、個人だけでなく組織としてクラウドを利用している企業も増えています。そこで、企業で使う視点から、さまざまな種類のクラウドサービスをご紹介します。

クラウドサービスとは

クラウドサービスを簡単に言うと、従来自分のパソコンや会社のサーバーにインストールされて使っていたソフトやアプリケーションを、インターネットで接続して利用するサービスのことです。一例として、GmailやOutlook.comのようにインターネットに接続しさえすればどの端末からでも使えるWebメールをイメージするとわかりやすいでしょう。クラウドサービスのメリットとしては、以下が挙げられます。

  • パソコンやモバイルでは保存やメール送受信が制限される大量の情報を、容量を気にせずに利用できる
  • クラウドに保存したデータや情報は、自分のパソコンやモバイルだけでなく、インターネットの接続環境があればどこからでもアクセスできる
  • 万が一、パソコンやモバイル端末が故障したり紛失したりしても、クラウドに保存されている情報はなくならない
  • メール添付で送付する必要なく、複数の人で同じ情報やファイルを同時に共有できる
  • 自社のサーバーのような資産を持たなくてもよく、保守も必要ない
  • 無料、または低コストで利用できる

企業のクラウドサービス利用状況

では、こうしたメリットがあるクラウドサービスを実際に利用している企業は、どのくらいあるのでしょうか。総務省の情報通信白書平成30年版によると、クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は、平成28年には46.9%だったのが平成29年には56.9%と大幅に増加しています。また同白書では、クラウドサービスを利用する企業のうち効果を実感している企業の割合は85.2%となっています。

クラウドを利用する理由としては、自社サーバーのような資産や保守体制を自社に持つ必要がない点や、どこでもサービスを利用できる点を挙げる企業が多くなっています。一方、クラウドサービスを利用しない理由としては、必要がない、情報セキュリティに不安がある、既存システムの改修コストがかかるといった点が挙げられています。クラウドサービスを利用する際のセキュリティ対策や、サービスを利用することで削減できるコストなど、クラウドに関する正しい情報が認識され、クラウドサービスへの不安が払拭されれば、今後、企業によるクラウドサービスの利用は更に増えるのではないでしょうか。

企業で使えるクラウドサービス

具体的に企業で使えるクラウドサービスには、どのようなものがあるでしょうか。主なものとして、以下が挙げられます。

クラウドストレージ

オンラインストレージとも呼ばれ、ファイルやデータを自分のパソコンや会社のサーバーではなく、クラウド上に保存するサービスです。自社のサーバーに保存されたファイルや情報は社外からはアクセスできませんが、クラウドストレージならどこからでもアクセスでき、情報のバックアップとしても使えます。また、セキュリティ対策も備えた法人向けのサービスもあります。
代表的なサービスとして、以下のようなものがあります。

Googleドライブ

Googleが提供しているサービスです。安定性や耐久性は非常に高く、Googleの高いセキュリティで守られています。ただし、クラウドストレージ単独のサービスはありません。G SuiteとしてGoogleドキュメントなどさまざまなアプリケーションが統合されたものを利用できます。
デバイスは、ほとんどの端末からアクセスできるうえ、Androidにはアプリが用意されており、簡単に使うことができます。
https://gsuite.google.co.jp/intl/ja/

OneDrive

Microsoftが提供しているクラウドストレージサービスです。Microsoft製なので、Microsoft Officeとシームレスに連携できます。ビジネス利用を考えて作られたサービスです。モバイル端末のアプリ単体でもMicrosoft Officeファイルの閲覧が可能で、Office Mobileをインストールしていれば編集もできます。
デバイスは、Windows、Mac、iOS、Android、Windows Mobileなど各種の端末に対応しています。
https://products.office.com/ja-jp/onedrive-for-business/online-cloud-storage

Dropbox Business

Dropbox Businessでは、無制限のファイル復元やリモート削除、ファイル管理者の移行など、ファイル管理に関する機能が豊富です。また、他のアプリケーションやWebサービスとの連携も豊富で、Microsoft Officeと統合することができシームレスに使うことができます。デバイスは、Windows、Mac、Linux、iOS、Android、Windows Mobileなど各種の端末に対応しています。
https://www.dropbox.com/business

ワークフロー

出張精算から見積書提出、契約、購入、休暇願まで、業務に欠かせない各種申請や承認手続きを、紙ではなくパソコンで行うシステムです。申請者や承認者が客先回りや出張で手続きが滞るといったことがなくなります。クラウドサービスを利用すると、スマートフォンなどのモバイルからでも申請や承認ができるため、承認者が外出中でも承認作業を行うことができます。承認者が自社に戻るまで作業を進められないということがなくなるため、時間的な無駄の削減に役立つでしょう。
代表的なサービスとして、以下のようなものがあります。

ジョブカンワークフロー

1ユーザー300円から利用できるワークフローシステムです。おすすめのポイントは同じシリーズで経費精算、勤怠管理、採用管理、労務管理、給与計算システムがあり、それぞれと連携を取って業務効率がアップできることです。機能制限はあるものの無料で利用できるタイプもあるため、まずはワークフローシステムがどういったものか試してみたいといった場合にもおすすめです。
https://wf.jobcan.ne.jp/

X-Point

月額1ユーザー500円(初期費用10万円)から利用可能なクラウドタイプのワークフローシステムです。最大ユーザー数は1,000名のため、中小企業から大企業まであらゆる企業におすすめです。すべての機能を利用できる30日間の無料体験もあります。またサイボウズoffice、サイボウズ ガルーン、SharePoint、desknet’s NEOとの連携も可能です。
https://www.atled.jp/xpoint/

R@bit Flow

オンプレミス(パッケージ)タイプのみで、数百人以上の規模の企業におすすめのワークフローシステムです。主な機能は、申請書作成、フォーム作成、組織・役職・個人などのルート作成機能、公開掲示板、Q&A掲示板、PDF印刷、組織人事管理、滞留処理、ログ管理などがあります。またWebブラウザに対応したアプリケーションのため、申請・審査処理、メール送信、文書保管・閲覧、検索、PDF印刷などを専用ソフトによらずすべてWebブラウザで処理することができます。

https://www.ricoh.co.jp/si/workflow/

プロジェクト管理ツール

ある作業を複数で行うのに各メンバーの作業の進捗や予定、コストを管理して把握し、メンバー間で情報を共有するためのツールです。作業やプロジェクトには同じ事務所内で完結するものだけでなく、メンバーが場所を移動して作業する必要があるものもありますが、そのような場合にはどこからでもアクセスできるクラウドサービスを利用するのが便利です。
代表的なサービスとして、以下のようなものがあります。

Trello

タスクカードをボードに貼って情報を管理する形式のツールです。進捗状況に合わせてカードの順番を変えたりリストを加えたりします。付箋を貼ったりはがしたりする感覚で使え、視覚的にタスクのバランスや進捗状況の全体を把握できます。担当者のアサインやタスクの締め切りも設定できて、カードに紐付いた詳細やコメント、質問などを追加できます。
https://trello.com/

Jooto

Trelloと同じく、ボードとタスクカードを使って情報管理を行うツールです。Trello同様、視覚的でわかりやすいため、初心者におすすめです。無料で利用できますが、有料の機能には生産管理や工程管理で便利なガントチャート機能を搭載しています。
https://www.jooto.com/

Backlog

主に開発やマーケティング、人事・総務などで使われているプロジェクト管理ツールです。登録メンバーに対しプロジェクトごとにひとつのプラットフォームを作ります。ガントチャートの表示で、作業工程や進捗状況が一目でわかります。また、メッセージのやりとりで、作業の割り振りなど指示も出せるため、業務が滞っていればすぐに対応ができます。
https://backlog.com/ja/

業務のクラウド化で効率化をめざす

個人レベルでは利用するのが当たり前になりつつあるクラウドですが、業務に使うシステムをクラウドサービスで利用する企業も増えています。モバイル時代の業務効率化をめざして、セキュリティ対策も考慮した法人向けのクラウドサービスを検討してはいかがでしょうか。

参考: