コスト削減でライバルに差をつけよう!コストの種類や具体策を紹介

コスト削減でライバルに差をつけよう!コストの種類や具体策を紹介

業務効率化

コスト削減は重要であると分かっていても、何から手をつければよいか迷ってしまうものです。コストの種類を把握し、削減効果の高いものから着手することが重要です。今回は、基本的かつ効果が高いコスト削減の手法をご紹介します。

コストの種類

コスト削減への対策は、企業経営者や経営層のビジネスパーソンなら、実施経験がある人も多いでしょう。ここでは、改めてコストとは何なのか、から考えてみましょう。

固定費と変動費

「固定費」は、事務所や工場を稼働させているだけで出費が続く費用です。水道光熱費や各種賃料、IT費などが分かりやすい例です。「変動費」は、ケースによって変化する費用です。商品の仕入代金や、製造で調達する原材料費、臨時に雇い入れた販売スタッフ(アルバイト店員など)を活動させる人件費などが該当します。

まずは売上や利益の多寡にかかわらず、必ず出ていく固定費の削減を中心に考えることから始めるべきです。「利益につながらない経費」固定費を削ることが、第一歩なのです。

先行投資の経費

「先行投資」について再定義することも重要です。例えば、IT投資の多くは、仕事を支援するためのもので商材ではありません。ITは戦力としてのツール(武器)であり、業務上必要不可欠なコストです。しかし、ITに関しては、その価値の捉え方が部署間や世代間で差があるのも事実です。営業社員が求めるITツールを、コスト高になるからと経営層が却下するというのはよくありますが、それによりIT化が遅れたばかりにライバルに後れをとることになりかねません。IT化による業務改革や生産性の向上など重要なテーマは、社内での知識と意識の統一から進めていく必要があります。

このように、コストの削減を考える際には、今削減しようとしている経費は「会社を改革・発展させていくための先行投資の経費」なのか、それ以外の経費なのかという視点を持つことが重要です。

「見えるコスト」と「見えないコスト」

理解しやすいコストは、賃料や人件費、原材料費、細かいものでは社員の交通費、出張費、事務費などが代表的でしょう。これらは「見えるコスト」と言えます。一方、注意したいのは「見えないコスト」です。

「見えないコスト」の代表例は、社員の会議時間です。人件費の高い管理職や経営層ほど、この時間が多くなる場合があります。会議は必要ですが、報告や感想が中心の会議では、費やされた時間(人件費)が売上に貢献することは期待できません。企画会議と称して、議論に長時間を要しても、結果が出るとは限りません。また、会議のために社内データを収集し、それをまとめる時間もコストです。目に見えて、いくらかかったと数値化できるものではありませんが、時間もコストであると認識することは大切です。

コスト削減の手順

コスト削減にも手順があります。まずはコスト削減の目標設定から考えてみましょう。

「売上拡大」と「コスト削減」

コスト削減の目標は利幅の拡大にあります。コストを下げずに売上や利幅を拡大できれば、コスト削減と同じ効果があると考えることもできます。もちろん、売上は伸びたがコストも増え、結果として残った利益額は変わらなかったというのでは意味がありません。

利幅を拡大するためには、「売上拡大」と「コスト削減」を常に意識することが需要です。

コスト削減手順

「固定費」と「見えないコスト」の削減から考えることが重要です。分かりやすく表現すると「無駄の削減」です。「無駄な会議」や、仕事の方法に関する「非効率な無駄」にまずは目を向けることです。ITの活用により、以下のようにコスト削減につなげることができます。

  • 仕事のプロセス、組織の動き、コストの流れ・その配分などをデータにより「見える化」する
  • ITによる電子化で、物理的な課題を克服する

コスト削減は、実施と検証と改善をくり返して効果が得られるものです。そのためにはITなどを活用し、業務をデータ化する必要があります。また上記でも例に挙げている無駄な会議の改善に関しては、離れた支店間でWeb会議システムを活用し、移動費や移動にかかる時間などを削減するといった方法もあります。

コスト削減事例集

それでは実際の例に従って、コスト削減について見てみましょう。

中小企業経営で即効性のあるコスト削減対象一覧

ここからは、中小企業向けの具体的なコスト削減の例を見てみましょう。

  • 印刷機を複合機に一元化:分散する出力機を集約し、保守費の圧縮や枚数管理によるコスト削減
  • サーバをクラウド化:「自社構築サーバの利用」から「クラウドサーバの利用」に変え、必要なサーバの容量を確保しながら維持費、保守費を削減
  • 出張費:テレビ・Web会議の導入で、スケジュール調整にかかる時間、出張経費の削減
  • 教育費:eラーニングの活用による社員教育、スキルの平準化と向上の機会創出
  • 手数料:インターネットバンキングの活用による手数料の削減

これ以外にも、会社の備品をインターネット通販で一括購入することで、出費を把握しやすくでき、社内伝票を減らす効果などが期待できます。また、購入記録をデータとして残すことができるものも多いので、「見える化」の実現にも一役買ってくれます。

コスト削減の基本はペーパーレス化

コスト削減として忘れてはならないのがペーパーレス化です。従来は会議資料の大量の印刷とその後の破棄(シュレッド)作業の無駄が継続されていることや、伝票、社内申請書、契約書、発注書や請求書が管理部門を中心に紙のまま保管されていることが多いと考えられますが、この状態では、さまざまな経費が発生しています。資料を紙に印字することによって発生する費用は、以下の通りです。

  • 用紙代:コピー用紙が代表的ですが、他にも伝票などの用紙自体にかかる費用
  • 印刷費:トナー代、インク代、印刷会社への外注費
  • 郵送費:紙の請求書や納品書などの郵送費用、必要な封筒代金など
  • 保管費:機密書類などのファイル、キャビネット、倉庫などの設備費用、およびそれらを設置するスペース
  • 廃棄費:シュレッド作業によって出るゴミの処理費用、廃棄業者などの外注費

これを見るといかに「印字しなくてよい仕組み」=ペーパーレス化を実現することが重要か、お分かりいただけるでしょう。

これらは「目に見えるコスト」ですが、それぞれに人の作業が関わっており、「見えないコスト(人件費)」がさらに上乗せされることになります。また、情報漏洩リスクを削減しようとした場合、資料の保管場所に施錠をしたり、信頼できる倉庫会社に預けたりするなど、別途費用が必要になる場合もあります。

ペーパーレス化の実現のためには、印字しなくてよい仕組みを作ることが重要です。資料は紙で打ち出さずパソコンやタブレットの画面で確認するようにしたり、クラウドサーバを使った情報共有を可能にしたり、といった環境作りが重要です。

ペーパーレスのWeb会議で働き方を改革

日本を代表する印刷会社の系列会社でも、社内会議のペーパーレス化に取り組みはじめました。同社はグループ会社から施設管理業務を受託する立場にあります。取り組みの理由は、以下の3点です。

  • 会議資料の差し替えや印刷などの準備時間の無駄、資料が膨大になり管理しきれない
  • 紙の資料の利用はセキュリティ管理が大変
  • 用紙と出力コストの削減が必要

ペーパーレス化した効果としては、紙や印字コストの削減はもちろん、タブレットを用いて会議をすることで、色や図案による情報をより伝えやすくなりました。資料の作成や変更がやりやすくなったほか、情報漏洩のリスクも低減できたとしています。そして何よりも会議時間やその準備時間が縮小でき、働き方改革のひとつになったと自己評価しています。

できることは今すぐに実行、コスト削減の基本

まずはコスト削減のためにできることを洗い出すことが重要です。もし、その結果、削減のための課題が多すぎるようでしたら、より大きな効果が期待できる課題から優先して取り組むことです。そして、もしそのような方策が浮かばないのならば、ペーパーレス化についてもう一度見直してみるのもよいでしょう。

 

参考: