「備忘録」だけではない!活かせる議事録の作り方

「備忘録」だけではない!活かせる議事録の作り方

業務効率化

議事録は、開催された会議などで討議された内容、発表内容などを記録することが主な役割ですが、それだけではありません。議事録を記録だけに使わずに活用することを考えてみましょう。例えば、会議で議論された内容に関して、参加者全員が共有できるような資料とすること、または、その情報を業務に活用する資料とすることで議事録をとる目的も変わってきます。つまり議事録はただ会議の結果を残すだけでなく、活かすための有用な資料として使うものなのです。議事録をうまく活用することで、業務の課題が関係者のなかに共有され、取り組みがスムーズになる可能性も高まります。今回は議事録の役割と効果的な議事録の書き方など、活かせる議事録のポイントを紹介します。

議事録の意味と目的

議事録といってもさまざまなものがあります。特別なものとしては、取締役会議の議事録があります。会社法第101条第3項および第4項に明記されている取締役会議事録は、書面または電磁的記録をもって作成しなければならない、と規定されており、取締役開催における議事経過のほか、結果や決議事項などを記載する必要があります。つまり、会議での決定事項や、どのような話し合いがなされたかといった内容については、参加者だけが知る情報とするのではなく、後に、追認事項や情報として活用できる形で保存しておくことが重要だと考えられていることが分かります。

取締役会議事録については、なじみがない方もいらっしゃるでしょう、そこで、関係者の間だけで開催されるプロジェクト会議なども含め、会社で当たり前のように開かれる会議における議事録のあり方を見直すためにも、今回は広い範囲で議事録を考えてみましょう。

まずは、基本的な議事録の役割、議事録をとる目的について改めて確認していきます。

備忘録として

会議などで議論した内容、その場で出た貴重な意見、決定事項などを正確に記録します。同じ場にいて、同じ内容を聞いていたとしても、全員が同じように理解しているとは限りません。特に発言は受け止め方が違うと解釈も違ってくる場合があります。「言った、言わない」でもめることもあるかもしれません。後日考え直す場合には、自分の思い込みのうえに考えが加わるので、他人との理解の差は広がるということもあるでしょう。そうした理解の齟齬をなくすためにも、文字として、あるいはデータとして正確に保存しておくことが大切なのです。

決定情報の共有・周知させるために

会議などで議論した内容、決定事項、そのときに出た意見(反対意見なども含む)を、会議参加者および情報を必要としている人に共有・周知するための資料にします。会議に参加していなくても、情報を必要とする人が共有できる正確な資料があることで、新たな気づきなどが生まれる可能性があります。

情報を業務に活かすために

会議などで議論した結果を業務の見直しなどに活かすこともあるでしょう。会議をした結果を参加者や関係者が共有できるデータにしておくことで、課題についてどのように対応するのか、あるいは、どのようにプロジェクトを進めていくのか把握するためにも議事録は重要です。会議の参加者だけが会議の内容を理解しており、周りの関係者は参加者に確認しなければならない状態の場合、伝達するうちに微妙な伝わり間違いなども発生する危険性も出てきます。議事録を情報として活用することで、こうした間違いを防ぐことが可能になります。

議事録の文体

では、ただ記録としてのみ使われていた議事録を活かせる議事録にするための書き方を見ていきましょう。書き残すべき項目と要領を把握して、誰もが利用しやすいものにすることが大切です。

多くの記録者が気にするのが、文体です。発言者に対する敬語はどうするか、など、慣れない担当者は特に迷うところです。多くの会社で新人社員が議事録の担当者になることもあり、上司の発言をどう記載するのかと気になるところでしょう。しかし、議事録は多くの関係者が情報として共有し、活かせるものであることが最大の目的になりますから、「だ、である調」に統一し、「この、その、あの、どの」など「こ・そ・あ・ど 言葉」は具体的な単語に置き換えておくことが基本です。

また、参加者には理解できる場の雰囲気、流れによって省略された言葉も補っておくことが必要です。

議事録に必要な項目

では、次に、具体的にどのような項目を議事録に書いていくかについて考えてみましょう。

議事録の目的のひとつが備忘録であることを考えても、誰が読んでもすぐに内容が理解できるものである必要があります。そのために記入する順番が基本的に決まっています。以下の順番で記載すると、理解しやすくなるでしょう。

1. 会議名

どのような会議であったか、名前を見ただけで分かるような名前をつけます。例えば中心となった議題、テーマを会議名にしておくと、情報検索の際にも便利でし、テーマごとにまとめるのもスムーズに行えます。

2. 開催日時

決定された内容がいつのものであったのか、情報として新しいものを確認できるように開催日時は明確にしておく必要があります。

3. 開催場所

社内で行われた会議なのか、社外会議であったのかを記録し、後日別の会議を開催するときなどの参考材料にします。例えば、規模などを把握する情報として活かしたり、利用できる会場や会議室を決めたりするときに役立てます。

4. 参加者

クライアントも参加した会議であったのか、社内会議であったのかを記録することで、その会議の意味も変わってきます。書き方の注意点として、クライアント側の参加者には敬称をつけます。自社の参加者には敬称はつけません。また、社内会議であった場合は、全員に敬称をつける必要はありません。氏名・役職名のみ明記します。

5. 会議の目的

会議ではどのような内容を議論したのか、また何のために開催したのか、会議を開くにあたっての趣旨や目的を明記しておきます。

6. 決定事項

会議では何が決まったのかを明記します。複数の議題で討議され、決定事項がある場合は、それぞれに議題、項目、決定事項を記入しておきます。

7. 会議の内容、発言者

会議の内容と発言者、発言内容を明記します。発言については一言一句残すのではなく、ポイントを明記するようにします。この場合も敬語表記は必要ありません。誰が発言した内容であっても、簡潔に同じ文体で記入していくことが大切です。

また、同じ発言者が複数にわたり発言をして、内容をその都度追加した場合などは、ひとつの発言にまとめ、読みやすく理解しやすいものに編集する必要があります。

また、話し言葉と書き言葉とは異なります。話し言葉では区切れなく発言が続いたとしても、そのまま記入しては読みづらいものになります。内容を整理し、短文にまとめることも必要です。ただし、思い込みで省略することのないよう、発言者が言った単語などは網羅しておくことが大切です。また、同じ内容を言い換えた場合には、重複を避け、一文にまとめておきましょう。

その他、連絡事項(次回会議のことなど)

特に書き残しておくべき事項があれば、会議内容とは関係のないことでも明記しておきます。また、次回会議の予定など、伝えた内容を明記します。

写真や図など

議事録は基本的に文字で記録しますが、言葉では伝えにくい、図を見るほうが一目瞭然である、といった情報は携帯電話などのカメラ機能を利用するなどして、写真に残しておきましょう。その際、後日見返した際に何の写真(図表)なのか不明にならないようにキャプション(簡潔な説明書き)を添えます。原版(データまたは紙の資料)を発言者から提供された場合は、なるべくデータ化して、それも議事録の付随資料として添付しておきます。

議事録をとるために用意するもの

効率的に議事録をとるために、準備しておきたいものは、以下のとおりです。

会議用アジェンダ(予定表)

アジェンダがあると、その流れに沿って議事録を作成できるため、作業がスムーズになります。会議主催者に依頼し、事前にアジェンダを共有してもらうようにしましょう。

ICレコーダやスマートフォンアプリなどの録音できるツール

会議中にすべてメモをすることは不可能です。書き間違い、聞き間違いなどが発生し、正しい記録ができません。メモを取りながら、後に確認できるように録音をしておきましょう。

ICレコーダやスマートフォンアプリのなかには、録音データをテキストに変換できるものがあります。うまく活用して作業を効率化しながら、正確な議事録を作っておきましょう。

ただし、録音しているから、後で文字起こしをすればよい、という考え方はよくありません。録音を聞き直しても、うまく聞き取れない場合もあります。そうした点は臨場した雰囲気や内容をメモしておくことで、正確な情報を残すことにつながります。

音声テキスト変換機能のあるアプリケーションはいくつかあります。よく知られているアプリケーションをいくつか紹介します。

Evernote

メモ帳として活用している人も多いアプリケーションです。テキストや画像など、多くの情報を保存しておけるほか、音声テキスト変換機能が活用できます。このアプリケーションが便利なのは、音声テキスト変換機能を使っているときでも通常のキーボードが使えるため、音声認識が不十分な箇所があれば、即座に修正することができることです。無料で利用できるバージョンもありますが、月額360円〜の各バージョンもあります。
詳細は下記URLよりご確認いただけます。
https://evernote.com/intl/jp

ドラゴンスピーチ

ニュアンス社が提供しているソフトウェアです。音声認識技術で定評のある会社が提供しているだけあって、高精度音声認識エンジンを搭載しているほか、約100万語を収録した辞書、政治経済用語、IT用語などにも対応しているのが特徴です。また、ワード、エクセル、パワーポイントといった一般的に使われているソフトウェアにも対応しています。価格はドラゴンスピーチ11lightが13,100円(税別)、ドラゴンスピーチ11が23,100円(税別)です。
詳細は下記URLよりご確認いただけます。
https://www.nuance.com/ja-jp/dragon/dragonspeech.html

Googleドキュメント

一般的に多くの会社、個人が使っているGoogleが提供するソフトウェアのGoogleドキュメントでも音声入力ができます。Googleドキュメントを開き、ツールから音声入力を選択しておき、パソコンに音声が届くようにしておけば、音声を認識してテキスト入力してくれます。ただし、音声入力では認識して入力されるまでに時間がかかるため、会議中での使用には不向きです。後日、録音した音声をテキスト化する際に活用することをメインに導入するのがよいでしょう。価格は無料です。
詳細は下記URLよりご確認いただけます。
https://www.google.com/intl/ja_jp/docs/about/

その他にもさまざまなアプリケーションがあります。使いやすさや正確さなど、体験版などを試してみて使いやすいものを選びましょう。

写真撮影する際のカメラもしくはカメラ機能の使える携帯電話など

仕事用のスマートフォンがあれば、カメラ機能を使って資料などを撮影しておきましょう。また小型デジタルカメラなどを議事録用アイテムとして準備しておくのもよいでしょう。議事録を作成する担当者が備品も管理しておくようにすれば、資料などから情報が外部に漏れることも防げます。

議事録作成に活用できるツール

議事録を作成し、情報を共有し、活かせるようにするためには紙ベースの記録として残すより、データ化しておくほうが便利です。最近では記録するのみならず、情報共有などにも活用できるアプリケーションやツールがありますので、紹介します。

GIJI

株式会社アジャイルウェアが提供している議事録に特化したクラウド管理型ツールです。作成中の議事録をリアルタイムで共有できるのが特徴です。会議中にパソコンを起動させておき、その場で議事録を仕上げることができるため、改めて議事録を編集する作業を省くことができます。主に、以下のような機能があります。

  • 基本情報の定型化:議事録を複数の人が担当する場合でも同じフォーマットで見やすく作成することが可能です。
  • テキストでの書き出しが可能:記入はツールで設定されたエディタ機能で行われますが、テキストとして出力することもできます。
  • 作成中の議事録をすぐに共有し、編集できる:会議をしている間にも共有している全員が編集できます。
  • 共有、承認確認がしやすい:会議中に共有している全員が議事録の作成を確認しているので、会議が終わると同時に議事録を全員が共有したことになり、また承認も完了できます。
  • 議事録を日時順に管理、検索機能もある:作成された議事録は日時順のリストに表示されるので、必要なときに必要な人がデータを確認することが可能です。
  • その他:添付ファイルを追加できる、権限を設定できる、などの機能も充実しています。

詳細は下記URLよりご確認いただけます。
https://web.giji.io

Dropbox Paper

Dropbox社が提供しているツールです。登録者複数人で共有・編集ができるほか、モバイルアプリもあるので外出先でもアクセスすれば情報を共有することができます。Googleカレンダーと連携することもできるため、予定管理がしやすいというメリットもあります。主に、以下のような機能があります。

  • 特定部分へのコメントが可能:画像へのコメントを入れることも可能です。例えば、Paperドキュメントに挿入した図版や写真などを選択して、コメントを入力することができます。そうしておくことで、図版や写真の任意の場所へのコメントが設定されます。後で図版や写真の任意に設定された場所をクリックすると、設定されたコメントを確認することができるので、会議中にどのような説明や注釈がなされたかを分かりやすく再現することができます。
  • 複数人でドキュメントの作成、編集、レビュー、承認が可能:登録者を設定しておくことで、複数の人が編集にかかわることもできます。逆に、登録者を設定できるので、情報漏洩の危険性を縮小することができます。
  • 独自の議事録テンプレートが利用できる:統一された形式で議事録を残していくことができますから、担当者が複数いても、フォーマットがその都度変わることはありません。
  • その他:TODO管理としても活用できるのが特徴です。コメントが付いた内容に対して解決したか、未解決のままかを選択することができるので、現状がどうなっているのかを登録者全員が見ただけで把握することが可能です。

詳細は下記URLよりご確認いただけます。
https://navi.dropbox.jp/15-dropbox-paper-hacks-everyone-should-know

Evernote

前項では録音機能について紹介しました。Evernoteは個人の情報管理に使っている人も多く、使いやすさに定評があります。議事録作成ツールとして使う場合にも、多くの人が新しいツールを使うというストレスを感じることなく利用できるでしょう。また、フォーマットが用意されていますので、誰が担当しても統一的な議事録が残せます。主に、以下のような機能があります。

  • 手書きメモやホワイトボードなどをスキャンできる:手書きのメモなどをいちいち入力しなおすのではなく、スキャンして資料として残すことができます。
  • 撮影画像内の文字なども文字検索ができるほか、添付ファイルの中身も検索できる:通常ならテキストデータ内の文字のみ検索が可能なのですが、Evernoteはスキャンした画像内の文字も検索できるので、過去の記録を調べる際などは漏れが少なくなります。
  • 閲覧、編集権限を与えることも可能:議事録を作成する担当者のみならず、編集する権限を設定することも可能です。
  • プレゼンテーションモードがある:自分の考えている内容をEvernoteにまとめておき、プレゼンテーションモードのボタンをクリックするだけで、大型スクリーンに投影しての発表にも対応させることができます。
  • ペーパーレス会議に活用できる:会議への参加者がそれぞれ閲覧権限を持つ状態にしておき、Evernoteを閲覧しながら会議をするように設定すれば、プリントアウトした資料が不要になります。

詳細は下記URLよりご確認いただけます。
https://evernote.com/intl/jp

活用できる議事録は業務の効率化につながる

ほとんどの会社で会議を開催するたびに議事録を残しているでしょう。しかし、その議事録を次の業務に活かせているでしょうか。議事録を活用するには、決定された内容などの情報を社内・社外の関係者で共有し、業務に携わる人が使える状態にしておくことが大切です。議事録がただの備忘録になっていないかを再確認し、活用できる議事録を作って業務の効率化をめざしましょう。

また、議事録をとることを任された社員にとってもこの経験はとても有用なものです。多くの場合、新人社員が任される業務でもある議事録作成ですが、これはスキルアップのための経験になります。

会議の目的や決定事項、それを導くために行われた議論などを正確に把握し、残す作業をすることで、誰よりもそのプロジェクトの状態や進み具合を理解することになります。そうした情報は自分自身の知識として蓄積されます。同時に、全体を把握することができるので、業務の成り立ちについても視野が持てるようになります。こうした広い視野と詳細な業務内容の理解は、新たなアイデアや問題解決のヒントを見つける要素でもあります。自分自身のキャリアアップにつながる経験であることを意識して、積極的に取り組みましょう。

 

参考: