コミュニケーションの改善を会社の成長につなげる1on1とは

コミュニケーションの改善を会社の成長につなげる1on1とは

業務効率化

仕事のコミュニケーションが電話ではなくメール中心となり、業務でチャットを使うことも増えてきました。オフィスでは皆パソコンに向かって一見しんと静まり返っているものの、社員同士ではメールやチャットでコミュニケーションを取り合っていることもあるでしょう。しかし、逆に、上司と部下のコミュニケーションは疎遠になっているのではないでしょうか。今回は、上司と部下のコミュニケーションの新しいトレンドである、1on1について解説します。

1on1とは

1on1とは欧米では1on1ミーティングと呼ばれるもので、文字どおり1対1の、上司と部下の個別面談のことです。普段なかなかとれない上司と部下とのコミュニケーションを定期的に行うことで、気づかないうちにお互いの認識にずれが出ていないかを確認し、部下の育成を助けて業務効率化やチームの目標達成につなげるものとなります。また上司のマネジメントおよびコーチングスキル向上にも役立ちます。人材の入れ替わりが激しい米国のシリコンバレーが発祥で、優秀な人材の流出を防ぐために生まれた手法です。

1on1で期待されることは、たとえば、従業員が何を求めて働いているかを従業員自身にも気づかせてモチベーションを高めることです。ほかにも、上司がいままで気づかなかった部下のスキルや違った視点の考え方に気づくことで、適材適所の配置などにつながり、業務改善や生産性向上といった効果が見込めるでしょう。

また従業員自身も、具体的な業務目標を提示し、それができれば会社はどのようになるかを自ら考えるようになることも1on1の効果として期待されています。

1on1 のメリット、デメリット

1on1を効果的に実施することで具体的にどのようなメリットが期待でき、また漠然と実施するだけではどのようなデメリットが出るでしょうか。

メリット

  • 上司にとっては、コーチングスキルやメンターとしてのスキルが磨ける。
  • 従業員にとっては、年に一度の昇給や年2回の賞与に関する面談の前に、目標達成のために軌道修正するチャンスが与えられる。
  • 管理職が、現場の状況をよりよく知ることができる。
  • 上司と部下の信頼関係が築かれることで、チーム内の風通しが良くなり、意見交換が活発にできるようになる。

デメリット

  • 部下が多い上司にとっては1on1にあてる時間を作ることが必要になる。
  • 上司は部下に気に入られようとして、また部下は上司に対して自分を良く見せようとして、本音が出にくくなることが考えられる。
  • 苦手な上司や部下がいる場合、1on1を実施すること自体が苦痛となる場合がある。

1on1を実施する際に気を付けること

1on1を効果的に実施するためには、まず単に上司と部下の個別面談を実施するということだけでなく、なぜ1on1を実施するのかという目的や期待される効果を明確にして、実施する上司や従業員にしっかり伝えておくことが大切です。また都度の面談の濃さよりも定期的に継続して実施することが大切なため、一回の時間は短めにして、一回の面談で劇的な効果を期待しすぎないようにすることも必要です。

上司側の注意点

  • 議題や議事録もないカジュアルな面談にしましょう。堅苦しい面接ではなく慣れてきたら会話が流れるままにすることも必要ですが、特に初回は、事前に話す内容や質問事項を準備して部下に知らせておくと、会話がスムーズに進みやすくなります。
  • 用事ができた場合は、1on1をキャンセルするのではなく、日程を再設定して時間がないことを理由に1on1を中止しないようにしましょう。上司の役割は現場の仕事を自らするのではなく、現場をまとめて率いることであることを認識し、部下のために時間を割くことも上司の務めであることを示すことが重要です。
  • 上司は、聞く耳を持つことが重要です。自分の意見をおしつけるのではなく、異論や意見があっても部下の話をさえぎらないように、最後まで聞いたうえで、建設的な会話にもっていくように努めましょう。
  • 理論的なタイプか感情的なタイプかなど、日ごろから部下を観察して特徴を把握するように努め、タイプに合わせた対応をとるようにしましょう。
  • 基本的にはFace to Faceの面談がベターですが、遠隔地の部下との場合は、できるだけFace to Faceに近くなるようビデオチャットツールなどを利用するようにしましょう。
  • ただの雑談で終わらないように、面談の最後に話したポイントをまとめて、お互いの理解に誤解がないようにしましょう。

部下側の注意点

  • 1on1は業務報告ではなく、自分を知ってもらうことであることをまず認識しましょう。
  • 1on1は一方的な不満や希望、まして同僚の悪口や告げ口をする場ではありません。自分の意見や考えが、どのように仕事の効率化や会社の業績向上につながるかを考えて話すようにしましょう。
  • 時間の無駄にならないように話したいことを事前に準備し、何が達成できて何が不足しているか、自分なりの評価をしっかり上司に伝えられるようにしておくとよいでしょう。

会社側の注意点

  • 1to1は上司の思い付きでやるのではなく、会社として取り組んでいることを経営陣から全社に伝えて理解してもらうことが重要です。
  • 1to1を実施するにあたっては上司のコミュニケーションスキルを高めることが必要であり、まず上司へのコミュニケーションやコーチングの研修を実施するのが効果的です。
  • 1to1をどのように進めたらよいかわからない上司やうまくいかないと感じる上司のために、社内にコーチング専門の上司の相談役となる人物を指定したり、社外の専門家との契約を検討したりするとよいでしょう。

1on1で人材を効果的に活用し、会社の成長につなげよう

上司と部下の効果的なコミュニケーションは、仕事の帰りに飲みに行くことで達成できるものではありません。また最近の若い世代は、勤務時間後の飲み会を避けたがる傾向もあります。勤務時間を有効に使って上司と部下のコミュニケーション改善や人材育成につなげるために、1on1の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

参考: