ビジネスで必須のプロジェクト管理、無料版で使える便利なツールの紹介

ビジネスで必須のプロジェクト管理、無料版で使える便利なツールの紹介

業務効率化

納期が遅れがち、採算が厳しいプロジェクトが多いなどの悩みがあるというリーダーの方は、プロジェクト管理に改善の余地があるかもしれません。試しにプロジェクト管理ツールを使ってみてはいかがでしょうか。

プロジェクト管理はできていますか?

あらためて、プロジェクト管理の方法やその目的について考えてみます。

プロジェクト管理とは

プロジェクトは「目標を達成するための計画」です。プロジェクトの対象となるものは、製品の受託製造やソフトウェアの開発から、問い合わせを受けて要望に合わせたかたちでカスタマイズして納品するものまでさまざまあります。決まった仕様の製品を繰り返し製造したり販売したりする「ルーチンワーク」とは対照的な関係にあり、完結するまで、まったく未経験の作業を進めなくてはならないようなプロジェクトもあります。

プロジェクトの管理対象は、「予算」「仕様」「納期」が基本です。この三つの基準のバランスを取りながら、参加するスタッフの配置、作業の進捗、品質のコントロール、クライアントへの対応、トラブルの事前回避や万が一に問題が発生してしまった場合の対処まで、プロジェクトで起こりうることのすべてを管理することになります。

プロジェクト管理の必要性、管理を行わないことで起こりうる問題

プロジェクトの管理をおろそかにすると、次のような問題が起こります。

スタッフの配置ミス

納期や予算(コスト)へ影響、さらには品質への影響が出る可能性があります。

納期遅れ

作業の進捗管理ができず、納期が遅れる場合、無理に納期に合わせて作業を進めると品質や思わぬトラブルを招くことにもつながります。また納期遅れは信用にも関わる事態ですから、次の取引にも影響しかねません。

予算超過

投入する人材や原材料の管理ができず、採算割れを起こす可能性が高まります。採算割れは免れても、本来管理していれば得られた利益が無駄に消費されてしまうこともあります。

仕様・基準未達成

依頼者の希望する基準を満たせず、仕様より品質が下回ってしまい、修正や作り直しが生じます。また納期が遅れることにもつながり、信用を損なう可能性も高まります。

瑕疵の見落とし

プロジェクトの前半に生じた不具合などの見落としで、納品物に品質的な問題を生じさせてしまう可能性があります。その調査や修正に時間がかかり納期遅れや予算超過を起こすことにもなります。あるいは納品したのちに依頼者より指摘を受けて、修正や作り直し、最悪は損害賠償が生じる可能性もあります。

仕事を引き受ける側としてこれらの問題は本来あってはならないことであり、納期の遅れや求められている仕様が確保されていない状態であれば企業の信頼に関わります。また真面目で職人気質の社員が多い職場ではありがちな状況でもありますが、納期を守り、高い品質で納品できたとしても、予算管理がおろそか、あるいは予算を軽く考えているような場合には、採算の悪化や赤字プロジェクトになってしまう可能性もあります。お客様から良い評価を受けたとしても、事業の安定性や継続性が問われてしまうことになるでしょう。

こういった問題の回避のために、多くのプロジェクトの現場では、日報をつけたり対面のミーティングをまめに実施したり、管理者が現場を視察したりするなどが行われています。そうすることで納期も品質も予算もクリアできるかもしれませんが、それらに費やされる労力や時間はどうでしょう。管理者やスタッフがそのために活動した時間もコストなのです。もっと効率的で確実にプロジェクトの管理ができたら、利益の上積みや納期の短縮が実現できるかもしれません。

ITツールを活用したプロジェクト管理

いまはプロジェクト管理をITで行える時代です。ITによるプロジェクト管理の優れた点について紹介しましょう。

Excelでの管理の課題

プロジェクト管理については、Microsoft Excel(以下、Excel)の一覧表を共有フォルダに置き、各自が書き込むかたちで行っている企業が多いと思います。Excelを活用した管理は簡単な操作で行うことができ、コストもかからないといったメリットがあります。しかし、次のような課題があることも認識しておきましょう。

操作性や管理上の問題

プロジェクトが複雑になると、Excelの管理画面が細かくなりすぎて情報が把握しずらくなります。また、別の人が操作中のときは上書きができないこともあります。さらに、記入方法のルール、使う文字の指定など、それらのルールづけが手間であり、ルールができても従わない参加者などもあり、管理そのものが負担になってしまいます。

上書きやデリートなどによる消失

誤って他のスタッフのスケジュールに上書きしてしまったり、あるいは知らぬまにデリートしてしまったり、ファイルそのものを消してしまうリスクがあります。

モバイルなどマルチデバイスへの対応不足

客先や出張先、製造などの現場でもプロジェクトを参照できたほうが、疑問が生じたときに都度確認できるので、タイムリーな状況把握と管理が可能になります。しかしExcelでは事業所外からのアクセスが難しいので進捗状況と管理との誤差が生じる可能性があります。

ITツールによるプロジェクト管理

そこでプロジェクト専用の管理ツールを検討してはいかがでしょうか。上記のような問題の解決になるのはもちろん、次のような機能も使うことができます。

カレンダー

Excelで列や行に日付と曜日、休祝日の色分けなどを手作業で行っていたものが、カレンダーとして自動的に表示されます。そこに必要事項を記入し、参加者全員が共有することができます。

ガントチャート

Excelでは期間やその進捗を印の入力やセルの色分けで行いますが、ガントチャートは一種の棒グラフのかたちの表示機能なので、プロジェクトの工程を視覚的にわかりやすくチャート化できます。

PERT

ガントチャートと目的はほぼ同じでプロジェクトの進行管理を視覚的に理解するためのものです。しかし、表現はフローチャート図によるものになるので、個々の工程の関係性も含め、全体の進捗の把握や課題を見いだすのに優れています。ガントチャートとPERTの双方でチャート化できるプロジェクト管理ツールもあります。

タイムライン

一つの線上に日時とタスクの経過を表示します。時系列に表示されることがポイントで、複数のタスクや小さなプロジェクトとの関係性を見る場合は、ガントチャートやPERTを使うことになります。

WBS

プロジェクトのなかのタスクの詳細をツリー(木)のかたちにして表示します。複数の作業が同時並行処理されている場合は、枝分かれして表示されるため、どのタスクの担当の誰がどういう状況にあるかなどの把握がしやすくなります。

マインドマップ

ガントチャート、WBSに比べ簡単に作成でき、絵やマークなどで各タスクとその進行状況が示されるので、わかりやすいのが特徴。各自のタスクの理解と重要性の認識を高めることを目的としたチャートです。

進捗管理等

主にプロジェクトの進捗の実績を把握するためのツール。問題が生じているときはそのタスクや担当者の洗い出しができ、改善につなげるための情報として活用できます。

管理手法

スコープマネジメント

プロジェクト達成に向けて「何を」するか、「どこまでやるか」という視点でタスクを洗い出します。初期段階のみならず、中盤でも必要に応じて実施することが望ましいでしょう。スコープに照らすことなくタスクのみを挙げて実行すると、余計な作業の発生や、全体の進行を無視した各タスクの動きになってしまいます。

リスクマネジメント

リスクは技術不足、外部環境の変化、組織内の変化などで発生します。いざプロジェクトをスタートしたら必要な技術がなかったり競合会社が先に商品化してしまったり、別の業務に人が取られスタッフ不足が生じてしまったりするなど、さまざまな起こりうる問題を想定し、コントロールすることが大切です。

ステークホルダーマネジメント

プロジェクトは参加者の全員が目的や重要性、それぞれの責任を理解している必要があります。その対象は、経営者や関連する部署、外の取引先も含まれます。ステークホルダー(利害関係者)という位置づけで、どの範囲で、どのような関係までかを管理することが必要です。

コミュニケーションマネジメント

ステークホルダーなどの参会者や関連する部署やスタッフとのコミュニケーションのあり方を管理します。

ITツールによる管理のメリット

プロジェクト管理すべき対象やその指標、そしてその伝え方を挙げましたが、もはやExcelによる表のみで管理するのには限界があることがご理解いただけたと思います。専用ツールは、ガントチャートなどがすぐに作成でき、管理すべき対象の把握や、その変化の追跡、課題の抽出などを素早く行うことができるのです。その効果は次のとおりです。

  • 資産(人、モノ、金)の有効活用による納期短縮、品質や利幅の向上
  • 全員が目的を一つにした総体となり、複数の目によるプロジェクトの監視によるミスの削減、アイデアが出しあえる機会の提供

これまでプロジェクトにおける納期、予算そして品質の管理は労力のかかる仕事だったと思います。ITツールによるプロジェクト管理でこの仕事の確実化や省力化が実現できれば、プロジェックトの進行に余裕が生まれることになります。その余力を顧客のニーズへのさらなる対応に向けていくことが、プロジェクト管理の本質にあるのです。

無料版から使えるITプロジェクト管理ツール

まずは使って、試してみることが大切です。自社の業務に合うかどうかも重要な要素となりますので、無料で試せるものから、あるプロジェクトをモデルケースにするなどで実践してみましょう。

あると便利な機能

先に説明しましたガントチャート、工数管理、進捗管理、タスク管理などの機能があることを確認しましょう。

無料版から使えるもの

Asana

世界195カ国で数百万人が利用、カジュアルなデザインの画面で扱いやすい。

Trello

作業の自動化など、作業削減の機能が充実。

ToDous

かわいいスタンプで伝わりやすい。若い社員の士気向上にも期待。

Wrike

海外の有名企業での利用の本格機能、世界中で2万人以上が利用。

Brabio!

5人までならずっと無料、長い期間で試用できる。20万社突破の利用規模。

Todoist

必要な機能に絞ったシンプルで使いやすさを重視。教員などの利用者も。

backlog

ウェブ構築やソフトウェア開発、メディア関係などさまざまな業種の企業で利用。

Jooto

ドラッグ&ドロップを基本動作に、直感的に使えるが、ガントチャート機能などはもちろん搭載。

みんなでガント.com

ガントチャートを共有するクラウドサービス、会員登録不要ですぐ試用できる。

使えるもの、使えるところから試してみる

プロジェクト管理ツールは、実際に試用し、参加者の評価や意見を取り入れながら、決めていくことが大切です。どれも機能が複数あるので、その機能から仕事に役立ちそうないくつかに絞って使ってみるのも自社に適したツールか、使いやすいツールであるかを検討するときに効率的な方法です。プロジェクトやスタッフを限定し、その評価をもとに段階的に導入していくのも、プロジェクト管理ツールを導入し活用するための良い方法です。

 

参考: