仕事と生活の満足度を高める!ワークライフインテグレーションとは

仕事と生活の満足度を高める!ワークライフインテグレーションとは

働き方改革

一日24時間のうち、仕事とプライベートにそれぞれどれくらいの時間を使えているのでしょうか。一般的に平日は、職場にいる時間の方がプライベートの時間よりも多いでしょう。単純な作業や肉体的に負担が大きい作業にはAIなどが導入されるようになり、より思考力や独自性、独創性が必要な働き方が求められるようになりました。そこで注目されるようになったのが、ワークライフインテグレーションという考え方です。今回はワークライフインテグレーションについてご紹介します。

ワークライフインテグレーションとは

ワークライフインテグレーションと似た言葉にワークライフバランスがありますが、両者はどう違うのでしょうか。

ワークライフバランスは、プライベートの時間を充実させて人生が仕事だけにならないように、仕事とプライベートの調和がとれた状態を意味します。労働環境においては、育児や介護などの時間も取得しやすい仕事環境の構築を目指すもので、このために残業廃止や短縮が奨励されています。

ワークライフインテグレーションというのは、会社に勤めながらも、フリーランスや自営業に近い勤務体系を取り入れて働きやすくすることを指します。

フリーランスや自営業では、仕事の時間帯と仕事以外の時間帯がはっきり分かれていません。例えば、普通の会社であれば会社に在籍して仕事をしている昼間の時間(勤務時間帯)であっても、仕事が手すきであれば自分の用事を済ませたりスポーツジムに通ったりすることができますが、その代わりに仕事が増えれば夜や休日も働きます。こうした働き方がワークライフインテグレーションです。

ワークライフインテグレーションのメリット

ワークライフインテグレーションを導入することで、働く人にとっては、勤務時間中の空き時間を自分の生活のために有効に使うことができます。また仕事を計画的に効率よく行う工夫をすればまとまった休暇をとることができ、気持ちのリフレッシュや家族と過ごす時間を確保することができます。

会社にとっては、効率よく仕事を進めることでコスト削減につながります。また社員と社外の人との接触が増えることで、業務に貢献する新しいアイデアが生まれたり、人脈の構築にもつながったりするというメリットがあります。

ワークライフインテグレーション導入のためのポイント

ワークライフインテグレーションをいきなり導入するのは困難ですが、少しずつ導入するためのポイントとして以下が挙げられます。

  • セキュリティの確認:セキュリティの観点から、パソコンを自宅に持ち帰ることやモバイルで会社の情報にアクセスすることを禁じている会社があります。セキュリティ対策を見直して社外でも問題なく仕事ができるようにすることは必須です。
  • ツールの導入:ビデオ会議システムなど、遠隔地でも会社の業務に参加できるツールを積極的に導入することも必要です。休暇中でも必要に応じて仕事の対応ができると思えば、社員も安心して休暇をとりやすくなるでしょう。
  • 評価基準の見直し:日本では結果よりも頑張りで評価されやすく、勤務時間が多い方が美徳とされがちですが、この評価方法はワークライフインテグレーションを導入するにあたって障害となります。勤務時間ではなく、あくまで成果や貢献度で評価する人事システムを構築することが大切です。

ワークライフインテグレーションの事例紹介

では実際に、ワークライフインテグレーションを導入して成果をあげている企業の事例をご紹介します。

Btrax

企業のグローバル展開をデザインする、日本とサンフランシスコに拠点を置くBtrax社では、有給休暇を何日でもとれる有給無制限制度を取り入れています。この制度により社員は、自分の都合に合わせて休暇を好きなだけとれるように、仕事を主体的に考えて効率よく行うようになりました。また休暇期間中でも必要に応じてモバイルで仕事に対応できる体制となっているため、安心して休暇がとれて、業務にも支障がでないといったメリットが生まれています。

(出典)【ワークライフバランスはもう古い】新しい働き方、ワークライフインテグレーションとは│ビートラックス (btrax) : freshtrax ブログ

日本アイ・ビー・エム

日本アイ・ビー・エムは従業員数も多く規模の大きな企業ですが、部分的在宅勤務制度やホームオフィス制度、サテライトオフィス利用、フレックスタイム制、事業場外みなし労働時間制度などにより、時間と場所を選ばない働き方を推進することで、ワークライフインテグレーションを意識した労務管理を行っています。また労働時間の長さではなく、仕事の成果や貢献度で人事評価をする工夫も行い、組織全体でワークライフインテグレーションに取り組んでいます。

(出典)事例報告「多様な社員が活躍するために~考え方と制度の運用」│労働政策研究・研修機構(JILPT)(PDF)

創造性が求められる時代はワークライフインテグレーションで

テクノロジーが発達し、機械でもできる仕事と人でなければできない仕事がはっきり分かれてきました。人が行う仕事には創造性や自主性が求められ、9時から17時までといった勤務時間で仕事を行なうには無理が生じる場合もあるでしょう。仕事と生活のバランスをとるというよりも仕事と生活を統合させ、効率よく結果を出せるワークライフインテグレーションの導入検討が必要といえるのではないでしょうか。

 

参考: