ファイルや書類はバージョン管理が必須!おさえて置くべきポイントとは?

ファイルや書類はバージョン管理が必須!おさえて置くべきポイントとは?

業務効率化

パソコンで作成されるファイルや書類は、誰でも閲覧・利用できてとても重宝します。ただし、複数のユーザで書類を共有する際には、いつ誰が作成したものかといった書類の情報が非常に重要です。それらをはっきりさせておくには「バージョン」と呼ばれる改訂の段階を示す数字で管理するのがベストですが、運用の前にルールを決めておく必要もあります。

電子化による文書(ドキュメント)管理と問題点

文書ペーパーレスの問題点

必要なドキュメントを検索できない、会社全体で使用する共有ドキュメントなのに「最終版」が複数存在するなど、文書を電子化したときにはさまざまなトラブルが起こります。実は、これらの多くは事前の規定や管理ルールをきめ細かく決めていないことに起因しているのです。文書のペーパーレス化は便利だと思って導入を急ぐあまり事前の準備をしていないと、導入後にかえって不便になるということもありえます。

文書管理のルール、規定の明確化

文書電子化を導入する前には、決めておかなければならないことが複数存在します。これらの管理規定や電子化の目的をしっかり認識しながら準備を行うことが重要です。さらに、導入後に問題が発生することを事前に想定し、それらの対策を把握しておくことが大切です。

  1. 現状の文書管理に関する問題点の洗い直し

    現状において、文書管理の何が問題や課題になっているかという棚卸をしっかり行っておくことが大切です。つまり、浮かび上がってくる問題点は「電子化で解決するのか」という点をしっかり検討しておきましょう。また、これらを検討する時は導入推進グループだけではなく、他部署の意見も収集しておくことが導入をスムーズに進行できる大きなポイントです。

  2. 導入の目的となる機能を検討

    電子化を導入する機能(ワークフローやセキュリティー、バージョン管理など)をピックアップし、導入するツールにそのような機能があるかどうかを検討します。

  3. 文書管理のルール、規定の選定

    文書管理者の選定や権限、ファイル名のルール、「e-文書法」の順守確認、バージョン管理システム導入など細かなルールや規定を検討します。また、電子化に関してどのような手順(外注化を含めてどのようにスキャニングするかなど)で行うか、電子化文書の改ざん防止や管理期限なども事前に決めておきましょう。

文書管理システム、バージョン管理システムの導入

文書管理システムを導入するにあたって、バージョン管理システムも同時に導入するかという点に直面することもあるでしょう。文書管理システムは、電子化したドキュメントをどこにいても効率的にすばやく探し出せるメリットがあります。また、バージョン管理システムはどのドキュメントが最終版なのかを管理することができる機能を持っています。できれば合わせて導入することがベストでしょう。

ドキュメントの管理はどうすればいい?

ドキュメント編集の権限、バージョン情報

せっかく導入した文書管理システムですが、多くの企業で問題になることが多いのが、ドキュメント名「最終版」というファイル名です。不用意に使用することも多く、いくつも「最終版」が存在することで使用者が混乱するケースがあげられます。

このようなケースは、文書管理者の権限でファイル名のルールを統一することが必要です。たとえば、ファイル名の最後に作成日を加えれば、複数ある「最終版」の中でも最後に更新したファイルを見つけ出すことができるはずです。このようなルールや決めごとを管理する文書管理者の役割も重要といえます。

バージョン管理システムのメリット

電子ファイルは上書きしてしまうと、元に戻せない性質を持っています。従来であればそのようなケースの対策としてバックアップしたファイルに復元作業をするしかありませんでした。しかし、バージョン管理システムには、ドキュメントやファイルの更新履歴が管理できるだけではなく、誤って上書きされたファイルを前のバージョンに戻すことができる優れた機能が備わっています。この機能は、もともとIT業界でソフトウェアのバージョン管理で利用されていましたが、文書管理にも応用できることから導入する企業も増えています。

バージョン管理の失敗例と効率的なファイル管理

ファイル名のルールが不明確

個人の感覚でファイル名を決めてしまい、導入前に文書管理者や導入推進チームがファイルに関する管理ルールを決めることをせずに導入するケースです。検索しようにもキーワードがわからず、せっかく文書の検索スピードアップのために導入した文書管理システムが、逆に探しにくいものになってしまいます。

バージョン管理失敗の具体例

バージョン管理システムが導入されていない企業に多いのが、同じドキュメント、ファイル名が複数存在し、どれが最新バージョンなのかわからないケースです。ドキュメントなら大きな問題は起きませんが、システムを動かすプログラムの場合、ソースコードが異なるとシステムに支障をきたし大問題が起きる可能性があります。

このような場合、「最終版」などのワードは使わない、連番や作成日をファイルの最後につけるなどの工夫でこれらのトラブルは防ぐことが可能です。また、改ざんができないようタイムスタンプや電子署名を付与することでファイル名を固定化することも考えられます。

効率的なファイル管理とは?

文書管理責任者の運用によっても左右されるところですが、それ以外にも失敗しない方法があります。

バージョン管理システムを導入することを想定し、文書の種類から管理方法(タイムスタンプや電子認証などのセキュリティー面を含む)を規定していきます。次に、タグ付け(ファイル名を連想する副題のような単語)のように特定のプロジェクトと紐づけしておくことです。そうすることで、バージョン管理システムを導入した際に、プロジェクトで必要なドキュメントやファイルを非常に効率的に検索できるようになります。

このような方法を複数組み合わせることで、効率的な管理システムが完成するのではないでしょうか。

代表的な文書管理ツール

ここで、代表的な文書管理ツール(バージョン管理が可能なツール)をご紹介します。

日立ソリューションズ「活文 Contents Lifecycle Manager

文書管理システムとしての基本的な機能はもちろんのこと、Windowsの操作ができる人であれば迷わず使える、使いやすい操作画面(ユーザーインターフェース)が用意されています。
http://www.hitachi-solutions.co.jp/katsubun/sp/clm/

富士通「FUJITSU ビジネスアプリケーション Documal

クラウドサービスの一種である「SaaS」という形式でサービスを提供しています。クラウドサービスであるため、専用機器を購入する必要がなく、初期投資を抑えることができます。
http://www.fujitsu.com/jp/services/application-services/information-management/ecm/e-document/documal/

リコー「Ridoc Smart Navigator V2

文書の版管理、全文検索、アーカイブなどの機能が利用できます。Webブラウザ版も用意されていて、導入、管理コストを最小限に抑えつつ、面倒な手間のかからない簡単操作を実現しています。
https://www.ricoh.co.jp/ridoc_ds/rds/rsn2/

バージョン管理は書類共有の必需品

何気なく作業しているファイルの更新や上書き。通常のパソコンでは、誤って上書きしてしまったら、元に戻すことは不可能です。しかし、バージョン管理システムを導入することで、編集者・月日・履歴などを管理することが可能になります。

参考: