知っていますか? 稟議と決裁の違い。稟議の申請と承認にかかわる負担を減らすワークフローシステム

知っていますか? 稟議と決裁の違い。稟議の申請と承認にかかわる負担を減らすワークフローシステム

業務効率化

会社の利益は、売上の総体から経費のすべてを差し引いた結果です。売上を立てるのも仕事、経費を抑えるのも、また重要な仕事です。例えば、経費を抑えるための工夫を考えると、以下のような点に注目する必要があります。会社では出張に行くにも事前に申請し、その承認が必要です。この申請と承認の過程がいい加減だと不正な支出につながったり、管理のゆるさから経費超過の赤字会社になってしまったりします。つまり、経費削減には申請と承認が適切になされているかのチェックは重要です。しかし申請と承認の仕組みは経費抑制の効果がある反面、時間がかかるので意思決定の遅れを生むこともあります。今回は、稟議や決裁について考え、その経費抑制効果を生かしつつ、意思決定のスピードを高める方法を紹介します。

稟議制度のおさらい

稟議制度は日本特有の決裁システムで、事業活動をするうえで意思決定するための重要なプロセスとされています。稟議制度は「起案(申請)」「回議」「決裁・承認」「実施」「記録」で構成されています。まず、これらの用語の意味をおさらいしておきましょう。

  • 起案・申請:公式な文書などの草案を作ることとされ、企画や申請の案とその理由を文書等に簡潔にまとめ、決裁者に決裁や承認を仰ぐためのものです。起案・申請書は会社で一定の様式が決まっている場合があります。
  • 回議:作成した「起案・申請」の書類を、関係者の間に順次回し、意見を聞いたり承認を求めたりする工程。
  • 決裁・承認:権限のある上位者が部下等の「起案・申請」についてその可否を決めたり、認めたりすること。
  • 実施:「起案・申請」に「決裁・承認」があることを書類等で確認のうえで実行します。
  • 記録:「起案・申請」の書類とその実施結果は、関連組織の担当者や管理者等の決裁・承認の記録とともに書庫に保管され、その過程を遡及できるようにしておきます。

改めて、申請・稟議・承認の必要性と課題

それでは冒頭でも述べた、申請と承認の過程等の役割や、それを行うメリット・デメリットについて改めて考えてみましょう。

申請と承認という管理システム

物品の購入、出張等で経費の出費が必要になった申請者は、その理由や目的、概要や費用を定まった書式の申請書や起案書に記入し、それを社内回覧等のかたちで上長や経理部門に回します。そして権限のある上長や責任者から決裁や承認を得るという流れを取ります。この流れがあることで、出張ならば無駄な出張を発生させないことや、物品の購入ならば適正価格の購入先であるかどうか、また無駄な購買でないかを判断できるようにします。さらに、経理スタッフが正しく対応しているかを経理部門長がチェックする機会ともなります。このように、申請・承認のプロセスを経ることで、ひとつの管理・監視体制が出来上がることになります。

申請・稟議・承認の効果

これらの結果、大きな効果としては次の2つがあります。

  • 経費抑制効果:不正支出の防止や物品の重複購入の削減、正しい価格での購入、効果のない業務への出費の抑制などの経費削減等の管理機能が働く。
  • 情報共有:上長は申請書で誰が、いつ、どのような事業活動をするか、またそれに関する経費はどの程度かなどを知ることができ、それらの記録から過程を遡ることができる。

申請・承認の仕組みは、企業組織を統率し、正しく運営するひとつの手法としてもあるわけです。

申請・稟議・承認工程の課題

複数の社員で構成されている会社ならば、申請と稟議・承認の制度は、まず間違いなく導入されています。それでは、そこには問題点や課題はないのでしょうか。

稟議と決裁の違いは?

まずよく聞く言葉「稟議」と「決裁」の違いについて押さえておきましょう。

「決裁」は一般的にはひとりから承認をもらうことを意味します。よくあるのは、部下が上長から申請事案を承認してもらうこと。一方の「稟議」は、複数の管理者や権限者から承認を得ることとされます。社長がすべてを決裁するような小さな会社ならまだしも、ある程度の規模の企業の場合、実務では複数の部署が関係することが多くなるので、やはり「稟議」を経て承認を仰ぐことが多くなります。実は、ここが問題であり、改善のテーマであるといえるのです。よく耳にする「大企業は意思決定に時間がかかる、一方、少数精鋭のベンチャー企業は速い」などという差となって現れてくるのです。

紙による申請・承認の問題点

複数から承認等を得る「稟議」では、冒頭で説明した「起案・申請」の書類を、「回議」という回覧を経て承認印を得るという工程が求められます。そして、最終的にそれらの書類は書庫等に保管されます。承認をした各部署でも、そのコピーを保管することもあります。これらの紙書類の運営や保管規模はかなりのものになると想像できますが、書類の電子化が遅れている中小企業では、特に事務効率の点で、大きな課題になっているといえそうです。

紙の申請・承認の問題・課題をコストの面から例示すると以下のようになります。

  • 用紙代や印字代などのコスト
  • 稟議後の書類の保管や廃棄コスト
  • 書類の回議(回覧)を行う事務スタッフ等の時間的コスト

また、気づきづらいところではありますが、時間的な課題もあります。

  • 決裁者不在による稟議の遅れ
  • 申請書類や添付される重要情報の改ざん、紛失、盗難リスク

これらの課題のなかでは、「決裁者不在による稟議の遅れ」が大きなテーマです。会社としての意思決定の速度にかかわりますので、その時間的ロスが大きくなると、ライバル会社に後れをとり、売上や利益獲得の機会損失にもつながる危険性があるわけです。

申請・稟議から承認までを電子化するという方法

そこで、これらの課題を解消すべく、紙の書類を回覧する工程を、すべて電子化してしまう方法があります。それがワークフローシステムです。

ワークフローシステムとは

ひと言でいえば、「電子上で申請・稟議から承認・決裁処理までできる」のがワークフローシステムです。紙による申請・稟議に比べ、さまざまなメリットがあります。大きく分けると、コスト削減効果とスピード向上効果の2つです。

ワークフローシステムを使うことのメリット

印字レス、ペーパーレスによる効果は、次のようなコスト削減につながります。

  • 用紙の購入コスト削減、手書き用紙や複写式用紙の制作コストとその保管コストの削減。
  • プリンター等の印字機器の印字コスト、設置台数を減らせればリース費用の削減と、設置スペースの縮小によるオフィスの有効活用。
  • 申請書類・決裁書類等の原本の保管コスト、部署で複写をもつ場合はそのコピーや保管コストの削減。

そして電子上で申請・稟議と承認のフローを作ることのメリットは、次のようなものもあります。コスト対策のみならず、ワークフローシステムを導入することによる、申請・稟議工程の付加価値化とスピード化こそが、導入メリットとしては大きいといえるでしょう。

  • 回覧書類を運んだり回収したりする手間と人件費の削減
  • 営業所や支店等、倉庫や工場等、物理的な距離の克服
  • スマートフォンなどモバイル機器を利用した外出や出張先での申請や承認
  • 組織の改編等にともなう申請・稟議フロー変更の迅速化
  • 申請・稟議、承認等の情報の共有や進捗のリアルタイムな確認
  • 再申請やデータの一部流用などが容易、それらのデータ分析による改善
  • 紛失、毀損、漏えい等の防止

このようにワークフローシステムは、「コスト削減+付加価値化・スピード化」という複数のメリットを合わせもつことになるわけです。

ワークフローシステムで稟議の時間短縮、労力削減

ワークフローシステムの導入で、申請・稟議の時間短縮とそれらにかかわる直接コストや労力としての間接コストの削減を図ることができます。そして会社組織という大きな視点でとらえると、コスト削減というよりも、情報化による付加価値化や安全性の向上、意思決定のスピード化の方がメリットとしては大きいことになります。

業務の正当化を判断するにおいても重要な役割をもっている申請・稟議・承認いう工程は、日本の会社において廃止されるとは考えにくいでしょう。しかし、冒頭でも指摘したように、経費がかさんでいる部分でもあります。ワークフローシステムをうまく導入することで、労力の効率化、コストの削減、スピード感のある決定へと結びつけ、自社の業績や売上向上を目指しましょう。

 

参考: