がんばるタイムのメリットと、うまく導入するコツは?
働き方改革
「がんばるタイム」という言葉をご存知でしょうか。仕事中にたくさん発生する割り込みを一切無視して、自分の仕事だけに集中するための取り組みです。今回は、がんばるタイムのメリットやデメリット、さらにスムーズに導入するための方法についてご紹介します。
がんばるタイムとは
がんばるタイムとは、電話対応や雑談、コピー取りなどの割り込みを一切行わず、自分の仕事に集中するための時間です。
「がんばるタイム」を取り入れることで生産性を向上させる取り組みは、トリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社が始めました。フォーカスタイム、集中タイム、Quietタイムなどとも呼ばれ、一時は他の会社でも取り入れられていましたが、うまく導入できずに廃止される場合も多いようです。
がんばるタイムのルール
がんばるタイムを始めたトリンプでは、次のようなルールを定めて厳格に運用しています。
- 12時30分~14時30分の毎日2時間は、コピー、電話、立ち歩き、雑談などすべての割り込みを禁止
- 上司や部下との打ち合わせ、相談なども禁止
- 自分の仕事だけに集中する
がんばるタイム導入の目的
がんばるタイムは、割り込みにより仕事の効率が下がることを防ぎ、自分の仕事だけに集中する時間を作るために導入されました。
打ち合わせ、電話や来客の対応、メール、社内連絡、雑談や雑用などで仕事が中断することは意外に多いものです。そのため、集中して仕事に取り組むには残業したほうがいいという人もいるでしょう。
がんばるタイムは仕事の中断をなくし、強制的に仕事に集中させることで、業務効率化と生産性向上を目指すものです。その結果、残業が減り、ワーク・ライフ・バランスを実現することにもつながります。
がんばるタイムのメリットとデメリット
がんばるタイムには大きなメリットがありますが、メリットだけではなくデメリットも理解する必要があります。
がんばるタイムのメリット
がんばるタイムには、次のようなメリットがあります。
- 割り込みがないので、集中でき、効率よく仕事をこなせる
- 集中して仕事をすることで効率と生産性が上がる
- 仕事の効率が向上することで、早出や残業をする必要がなくなる
- がんばるタイムにできない仕事は、がんばるタイム以外に行うようになり、スケジュールを立てやすくなる
がんばるタイムのデメリット
また、がんばるタイムには、次のようなデメリットもあります。
- 他の部署や取引先に理解されにくい場合があり、トラブルになりやすい
- 新しいメンバーが入ってくると、がんばるタイムに慣れるまでは割り込みが発生しやすい
- 繁忙期には実行しにくい
- がんばるタイムに全力を尽くすため、それ以外の時間には、気が緩んで集中力が落ちる場合がある
がんばるタイムを効果的に導入するには
がんばるタイムをスムーズに導入するためには、いくつかのポイントがあります。がんばるタイムを実行しながら、社内外のトラブルを防ぐためのものです。
できれば全社で一斉導入する
がんばるタイムは全社で一斉に導入すると効果的です。一部の部署だけで導入すると、がんばるタイムにはその部署との連絡がつかないことで、他の部署とトラブルが起きてしまいます。このようなトラブルを防ぐためには、社内では一斉にがんばるタイムを導入することが効果的です。
中途半端に実行せず、割り込み無視を徹底する
がんばるタイムで一番の問題は「ちょっとこの用事だけ」と割り込みを許してしまうことです。一部の割り込みを許すと、そこからどんどん割り込みが増えて、がんばるタイムが形骸化してしまいます。
これを防止するためには、がんばるタイムをトップダウンで導入し、全員で厳密にルールを守ることが重要です。
導入前に周囲の理解を得る
がんばるタイムだからといって取引先からの電話にも出ないというのは、なかなか理解を得られないものです。しかし、電話に出ていてはがんばるタイムが継続できません。そのため、取引先にはあらかじめがんばるタイムのことを伝えて、理解を求める必要があります。
一部の部署だけでの導入や、社員それぞれで個別にがんばるタイムをとるシステムであれば、同僚や他の部署の理解は必要不可欠です。しかしその場合は、電話や訪問客などは他の部署や同僚に任せるという方法をとることもできます。
部署ごと・個人個人でがんばるタイムを行う場合は、サインを決めておく
個人や部署ごとに一定時間のがんばるタイムをとる場合は、自分ががんばるタイム実行中であることが周囲からわかりやすくしておきましょう。デスクに目立つ目印を立てたり、予定表に「がんばるタイム○時まで」などと書き込んだりします。誰が見てもがんばるタイムであることがわかるようにしておくことが必要です。
普段はより積極的にコミュニケーションをとる
がんばるタイムでコミュニケーションを遮断する分、それ以外の時間には積極的なコミュニケーションが重要になります。仕事をスムーズに進めることができるだけでなく、がんばるタイムに理解が得られやすくなり、誤解を受けることも少なくなるからです。がんばるタイム以外の時間には、積極的に電話に出たり、雑談や質問に応じたり、コミュニケーションをとるようにしましょう。
緊急事態の対応を決めておく
がんばるタイム中でも、すぐに対応が必要な緊急事態が発生すれば、割り込みで伝える必要があります。どういう事態を緊急事態とするかは、あらかじめ決めておきましょう。そうしなければ、割り込みが発生しやすくなり、がんばるタイムが形骸化してしまうためです。
緊急事態が発生した場合の対応も、内容によって、他の担当者に回す、割り込みとなっても本人に取り次ぐなど、あらかじめ対応方法を決めておきましょう。そうすれば、がんばるタイムをできるだけ維持したまま緊急事態にも対応できます。
がんばるタイムを成功させるにはルールの徹底が必要
がんばるタイムは、いったん導入しても「失敗」と見なして撤回されることも多い施策です。問題は、がんばるタイムのルールを徹底できずに中途半端に実行してしまうところにあります。がんばるタイムは、導入前の準備が重要です。そのメリットとデメリットをよく理解し、周囲の理解を得てから導入して、仕事の効率化を図りましょう。
参考: