テレワークって本当に働きやすいの?フレキシブルに働くメリットとは

テレワークって本当に働きやすいの?フレキシブルに働くメリットとは

働き方改革

今、ますます注目を集める「テレワーク」。働き方改革の推進などを背景として、社会的なニーズは高まっています。しかしながら、課題が多いのも事実です。欧米で浸透しているテレワークですが、日本でも同じように浸透していくのでしょうか。改めて、テレワークとは何か、メリット・デメリットを確認して、導入のポイントなどを把握しておきましょう。

テレワークとは

テレワークについて、厚生労働省は「ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」と定義しています。つまりテレワークとは、ITなどを利用し在宅勤務などオフィス以外の環境で働く、その就労形態のことを言います。英語で遠いという意味の「Tele」と、仕事という意味の「work」が合わさり「Telework」という言葉が生まれました。

自宅で業務を行う「在宅勤務」に加え、移動中に携帯などを使用して行う「モバイルワーク」、会社と自宅の間の中継地点にレンタルオフィスを設置する「サテライトオフィス」での作業もテレワークに含まれます。

テレワークの起源は米国西海岸にあると言われています。70年代にエネルギー危機と大気汚染への対応としてマイカー通勤を抑制しようとして始まり、89年のサンフランシスコ地震、94年のノースリッジ地震により、災害時のリスク分散として急速に拡大しました。その後、企業戦略としても導入が促進され、今では会社の規模に関わらず浸透しています。欧州でも、とくに北欧を中心に定着しています。

日本では、ITの進化により「モバイルワーカー」が急増しました。東日本大震災以降、テレワークの注目が一気に高まり、国土交通省が実施した「平成26年度テレワーク人口実態調査」によると、平成24年の日本国内の在宅型テレワーカーの数は930万人に達しました。

政府も予算を組んで推進事業を実施し、社会が高齢化することによる労働人口減少への対応や、地方と都心部における雇用機会の均等を図ろうとしています。

しかしながら、テレワーカーの数はその後平成25年、26年と2年連続で減少に転じ、平成26年時点では550万人に減少しています。

テレワークのメリットとデメリット

テレワークの導入により、多くのメリットが期待されると同時に、デメリットについても指摘されています。

テレワークのメリット

テレワークのメリットは「社員・会社・社会」にあると言われています。

  • 社員にとってのメリット:通勤の負担が減るため、育児や介護との両立がしやすくなります。オフィスのように他の人から中断されることが少なくなるため、作業効率もよくなります。家族や地域に関わる時間が増え、ワークライフ・バランスの実現が可能となるでしょう。
  • 会社にとってのメリット:社員の業務効率改善や自己管理の推進による生産性の向上が期待できます。ITの導入が必然となるため、チーム内の情報共有の環境が整えられます。
    また、これまで育児や介護、Uターン就職などで離職をしていた優秀な人材を確保することができるようになります。さらに作業場所を社内に固定する必要がなくなるため、オフィス施設の縮小でコストの削減ができるようになります。
  • 社会にとってのメリット:通勤による渋滞の緩和や車などの排気ガス排出量の軽減など、環境改善が望めます。都市での就業と地方での就業に格差がなくなるため、地域の活性化につながります。また、育児中の女性や高齢者、障害者の雇用が増えることも見込めます。

テレワークのデメリット

このようにテレワークはメリットが多いにもかかわらず、日本で普及が遅れているのはなぜでしょうか。その理由でもあるデメリットには、以下のような点が挙げられます。

ひとつには、管理側が「離れた場所にいる部下のマネジメントがしにくい」と感じている点があります。部下の仕事ぶりが目で見えないことへの不安です。これまでは目の前の部下に指示を出せばよかったものが、メールや電話で行うことにより作業が増えてしまい、人数が多いほど作業量は多くなります。また就業規則で管理しきれないため、どこまで指導すればよいかわからない、見えないと評価しにくいという声があるようです。

そのほか、テレワーク利用者を育児や介護を行う人に限定している場合は、利用対象外の社員からの不満が生まれることもあります。また、利用者は「サボっていると思われたくない」という気持ちから、必要以上に長時間業務をしてしまうことも多いようです。

さらに、ITの利用による、情報漏えいのリスクを心配する声もあります。

テレワーク導入のポイント

テレワークを効果的に導入するためには、どのようなことに気をつければよいでしょうか。そのポイントを、以下の3つにまとめました。

1. マネジメントの課題に対応する

管理者の「部下の仕事ぶりが見えない不安」に応えるものとして「まずは管理者への導入を行う」という方法があります。管理者自身がテレワークを行い、リアルな業務体験で理解を深めることにより「わからないこと」への不安がなくなるでしょう。

2. 全員に平等に適用する

制度の利用者を限定せずに、なるべく全社員に平等に導入したほうがよいでしょう。厚生労働省では制度を取り入れた企業の成功事例を資料にしています。その中のひとつ、日産自動車では平成18年に育児・介護を要する社員に限定してテレワークの導入を行いました。しかし利用の非対象者との不和を気にしてか、利用者はごく少数でした。そこで平成26年から生産工程以外の全社員を対象に制度を拡充したところ、利用者が倍増したそうです。
このように利用のニーズは高いため、それを無理なく取り入れやすい仕組みを作ることも重要でしょう。
(出典)平成26年度 テレワークモデル実証事業 テレワーク活用の好事例集|厚生労働省(PDF)

3. テクノロジーを工夫して取り入れる

テレワークを導入するにあたり、テクノロジーの活用は欠かせません。しかし数多いITツールの中から何を導入するか迷ってしまいそうです。そこでITツール導入を検討するときには、以下のチェックポイントを意識してはいかがでしょうか。

  • 業務の流れとの適性はどうか
  • 残業を減らせるか
  • テレワーク利用者を正しく評価できるか

具体的に「どのツールを使うか」を検討する前に、忘れてはならないのは「ツールをどう業務に生かしていくか」を明確にすることです。場合によっては業務の新しい仕組みを作ることも必要になるかもしれません。そのうえで、導入を検討しているツールが自社の業務進行に適しているかを確認します。ツールの導入により業務の効率化が実現し、残業を減らすことができるか、テレワークの利用者を正しく評価できるかを今一度シュミレーションしておきましょう。

慣れ親しんだ環境を変え、新しい制度を導入しようとするとき、ネガティブな意見はあるものです。また新制度の導入に踏みきれても、成果を出すまで苦労の連続かもしれません。しかし、テレワークが今後ますます重要視されることは間違いないと言えます。価値を理解し、変化を恐れず、模索しながらでも自分と会社の成長のために、進めていく姿勢をもつことが大切でしょう。

 

参考: