在宅勤務のメリットを活かせば、社員も会社も働きやすくなる

在宅勤務のメリットを活かせば、社員も会社も働きやすくなる

働き方改革

在宅勤務を導入する企業が増えています。しかし、まだ導入に踏み切れずにいる企業も少なくありません。今回は、在宅勤務の導入には企業側にも大きなメリットがあることを解説するとともに、在宅勤務をスムーズに導入するために役立つツールをご紹介します。

在宅勤務の現状

在宅勤務だけではなく、テレワーク全体については総務省および国土交通省 都市局が毎年調査をし、情報を公開しています。今回はそれを参考に見ていきましょう。

平成29年度の調査では、テレワークを導入している、または導入の予定がある企業が全体の18.2%です。テレワークを導入している企業は、IT系企業や学術研究、専門・技術サービス業の企業が多いです。また、テレワークを実施している職種は、専門・技術職が多くなっています。
テレワーカーとして働いている人は、20代から30代の若手が多数を占めています。またテレワークを導入している企業では、社員の6.4%にテレワークを実施した経験があり、20.4%に実施の希望があります。テレワークを導入していても、テレワークを申請するには、育児や介護などの理由、最低勤続年数のクリア、管理者への申請などの条件を必要としている企業が30%以上です。

(出典)平成29年度テレワーク人口実態調査-調査結果の概要-|国土交通省都市局都市政策課都市環境政策室(PDF)

平成29年通信利用動向調査の結果|総務省(PDF)

在宅勤務のメリット

在宅勤務は、社員だけでなく企業にとってもいくつものメリットがあります。

企業側のメリット

労働時間の有効活用
通勤時間を業務にあてることができるので、社員が満員電車や長距離通勤など業務以外の要因で疲労することが少なくなり、業務効率の向上が期待できます。

育児・介護休業からの早期復帰
育児や介護などの事情で自宅にいる必要がある人でも生活と仕事とを両立しやすく、育児、介護休業から通常業務に復帰する場合もスムーズに復帰することができます。

優秀な人材確保
育児や介護などの事情があっても退社しなくてすむので、経験を積んだ社員の退職を防ぐことができます。また、働き方の自由度が高い企業は社員にとっても魅力的であるため、優秀な人材を確保しやすくなります。

コスト削減
オフィスの人数が減るので、広いオフィスを維持するためにかかる設備費用を削減可能です。また通勤費が必要な人が在宅勤務制度を利用するようになると通勤費も削減できるため費用削減につながります。

企業のイメージアップ
社員にとって働きやすい職場というイメージができて、企業のイメージアップになり、企業活動が有利になります。企業イメージの向上は上記の人材確保の観点でのメリットにもつながります。

社員側のメリット

通勤時間の削減とワーク・ライフ・バランスの実現
通勤時間がなくなって自由な時間を増やせるので、趣味や自己啓発、スキルアップなどに時間を使うことができます。

働きやすくなる
育児や介護などの事情があっても、働きやすくなります。

住む場所を選ばない
完全在宅勤務であれば、必ずしもオフィスの近くに住む必要がないため、地元に戻ることも、環境の良いところに住むことも可能です。

交通機関や天候の影響をうけない
移動する必要がないので、台風など天候が悪いときでも、交通機関に遅延があっても関係ありません。

在宅勤務の注意点

在宅勤務を実行するときには、次のような点に注意する必要があります。

セキュリティに注意

在宅勤務はインターネット上でオフィスとやりとりするので、セキュリティ上のリスク管理は大きな問題です。データの漏えいや改ざん、ウイルス等の対策、パスワード管理を徹底しましょう。

コミュニケーションが不足しやすい

テレビ会議システムやチャットシステムで業務連絡はできますが、ちょっとした雑談や小さな情報交換のようなコミュニケーションがしづらくなります。

緊急時の対応に遅れが出やすい

在宅勤務では連絡にタイムラグが生じるので、緊急時への対応が遅れがちです。

ナレッジが共有されにくい

在宅勤務者の知見は他のスタッフに共有されにくく、在宅勤務者はオフィスでのスキルアップがしづらくなります。

在宅勤務に便利なツール

上記のように、在宅勤務はコミュニケ―ションや情報共有に関して懸念点はありますが、以下のようなツールを利用することで解消できるものがあります。ほとんどのツールがマルチデバイスで使用できます。

チャットツール

メッセージを簡単にやりとりできるツールです。ファイルを添付したり、テレビ会議を行ったりすることもできます。

Chatwork
ファイル共有やタスク管理など、ビジネス用の機能が多いツールです。権限の割当も簡単で、外注先や取引先ともスムーズに情報共有できます。
https://go.chatwork.com/ja

Slack
技術系の企業や職種でよく使われているツールで、多くの外部ツールと連携できます。公開されているAPIを使ってカスタマイズも可能です。
https://slack.com/intl/ja-jp

Microsoft Teams
Office365の一部ですが、Office365ユーザーでなくても使えるツールです。拡張機能でさまざまなカスタマイズが可能です。
https://products.office.com/ja-jp/microsoft-teams/group-chat-software

テレビ会議システム

オフィスと複数のテレワーカーが同時にコミュニケーションできるツールです。多くのテレビ会議システムは、画面を共有することができ、同時に書き込みや編集ができます。

Skype
無料で利用できるツールです。ビジネス用のSkype for Businessは、Office365の一部として有料で提供されています。ユーザーが多く、導入しやすいサービスです。
https://www.skype.com/ja/

Googleハングアウト
Googleのビジネス用サービスG Suiteの一機能として提供されているツールです。Googleのカレンダーや連絡帳とスムーズに連携できます。
https://hangouts.google.com/?hl=ja

Appear.in
会議室のリンクを知っていれば、アカウント登録なしで使用できるツールです。基本的な機能しかありませんが、音声や画質のクオリティが高く、動作が安定しています。
https://appear.in/

プロジェクト管理ツール

プロジェクトの進捗状況を管理できるツールです。使い勝手や機能はツールごとに異なります。

Trello
かんばん式のタスク管理ツールです。掲示板と付箋使う感覚でプロジェクトの進捗状況を管理できます。さまざまな外部ツールと連携しています。
https://trello.com/

Backlog
プロジェクトごとに課題、ファイル、連絡、進捗状況などをまとめて管理できるツールです。ガントチャートやファイルのバージョン管理にも強いです。
https://backlog.com/ja/

Jooto
かんばん式のタスク管理ツールです。標準でガントチャートや複数のラベルによる管理もサポートしています。
https://www.jooto.com/

在宅勤務しやすい状態を整えることは会社側の利益にもなる

在宅勤務は働き方改革の実現に役立ち、会社側にも大きなメリットがあるワークスタイルです。なぜなら、フルタイムで働けない人も労働力として組み入れることができて、人手不足の解消にもなるからです。これからは在宅勤務を求める声も増え、企業側にも対応が求められるでしょう。

参考: