Web会議システムとは?距離や時間の壁を超越する効果的な時短ツール

Web会議システムとは?距離や時間の壁を超越する効果的な時短ツール

クラウド活用

メールで長文をやり取りするより電話のほうが早い場合があります。電話を通して口頭で説明するよりも、直接会って説明するほうが確実な場合があります。しかし、現在のビジネス環境では距離や時間の関係から、常に対面のコミュニケーションが許されているわけではありません。国内外のパートナーとのコラボレーション(協働)が進むようになればなおさらです。そこで活用したいのがWeb会議システム。その機能やメリットについてご紹介します。

対面コミュニケーションの重要性の変化

会社では、日々大小さまざまな会議が行われています。その会議のやり方やタイミングはビジネスを発展的に継続するために最適なのでしょうか。ここでは、「当たり前」や「当然」という視点を排除して、会議の意義やその時間的な代償について改めて考えてみることにします。

バカにならない会議コスト

会議は、会社の幹部や社員が、自社の一室を使って一定の時間、情報の交換やディスカッションを行うための機会です。会食会が同時に催されない限り、そこにコストが発生しているようには見えません。しかし、「見えないコスト」についても目を向ける必要があります。まとめると次のようなものが、コストとして挙げられます。

  • 会議室等の賃料、会議中の空調や照明等の電気代
  • 参加社員の交通費・出張費
  • 社員の人件費

オフィスビルには賃料がかかります。会議室もその対象です。自社ビルであっても、不動産としての維持管理費や固定資産税の対象となります。そして会議中の照明や空調には電気代がかかります。会議に参加する社員は、支社や営業所から交通費をかけて遠路やってくることもあるでしょう。当日の夜や前夜に宿泊費がかかる場合もあります。

しかし、何よりもコストとして認識しなければならないのは、会議に参加する社員や幹部の人件費です。そして会議が1時間であっても、コストとしてカウントされる時間はそれだけではすまされず、会議のための資料作成や、会議後の記録・情報共有のための議事録等の作成にも、人件費が割かれるということです。

ある会計事務所の試算によると、年収500万円として社会保険料も含めると、1時間当たりの社員の人件費は3,200円ほどとなりました。ひと月に1回、20人が参加する会議を1時間行うと、毎月64,000円のコスト、年間では768,000円にもなります。会議の大小含めればこのような回数・規模ではすまされず、この何倍、何十倍になることは容易に想像できます。

もちろん、必要性の高い会議もあります。しかし、働き方改革が求められ、生産性の向上が至上命題となっている日本の企業では、会議は必要最小限にする必要があります。つまり、無駄な会議を行うことや、無駄な会議のための準備は極力削減することが大切なのです。

必要性が高い小規模なミーティング

社内の各部署や専門スタッフが共同してプロジェクトを運営したり、パートナー企業と連携して仕事を進めたりする機会は、今後増えていくと見られます。ひとつの事業部、ひとつの会社が生み出す価値よりも、それぞれの力を結集して付加価値とスピード感の双方を高めるコラボレーション(協働)が、ビジネスのスタンダードになりつつあります。ここではコミュニケーションの質が問われます。準備に時間がかかったり、目的や効果が不明瞭だったりするような会議・小規模なミーティングであってはならないのです。形骸化された報告中心の会議ではなく、小規模でも実践的な対面のミーティングやコミュニケーションの重要性が高まっているのです。

Web会議システムとは

各部署や社外のパートナーと連携して仕事を進める際に、注目されるのがWeb会議です。テレビ会議については製品の歴史も古く、知っている人も多いのではないでしょうか。テレビ会議とWeb会議の違いや、Web会議のメリットについて見てみましょう。

テレビ会議とWeb会議の違いを認識

テレビ会議の主なコンセプトは、距離のある会議室と会議室をつなげることです。機材は大型のディスプレイ、映像撮影用のビデオ機材など、大掛かりなものとなり、本社会議室と支社や支店の会議室をつなぐような役割でした。これだけでも参加者の時間調整や、急な招集への対応、交通費の削減などに貢献しているのは間違いありません。

一方のWeb会議はインターネットの大容量・高速化と、カメラとパソコンやスマートフォンなどの機器との一体化で、会議室だけではなく、自席や外出先からでも参加できるようになった手軽さが特徴です。もちろん、会議室と会議室をつなぐような大きな会議にも十分に使えます。

Web会議のメリット

ノートパソコンやスマートフォンの内蔵カメラでも会議へ参加できますので、社内外、国内外を問わず、いつでも誰でも、どこからでも参加することが可能です。これがWeb会議の最大のメリットとも言えます。さらに会議室・映像機材・専用回線などが不要なためコストを抑えることができ、導入までの期間も短くて済みます。また必要に応じて、画像を使った質の高いコミュニケーションの頻度を高められることも特徴です。会議というよりも、コラボレーションのためのツールという位置づけで気軽に活用できるのもメリットと言えます。その結果、ひとつのプロジェクトを遂行するにも、情報の共有・問題解決・軌道修正などが迅速に行え、スピードを高められるわけです。

Web会議導入のポイント

それでは導入のポイントと具体的なツールをご紹介しましょう。

導入時に確認すべきポイント

Web会議システムを導入する際は、以下のような点に気をつけるとよいでしょう。

通信状況

会議を行う際に、映像の画質や音声が問題ないか事前に確認しておきましょう。特に複数の拠点をつないで会議を行う場合は、注意が必要です。また、パソコンやスマートフォンなど、デバイスによって通信や使い勝手に問題がないか確認しておくと、さらに安心です。

機能

Web会議システムのサービスによっては、チャット機能やファイル共有機能などがついているものもあります。自社に必要な機能は何なのか、しっかり確認して導入することが重要です。

セキュリティ

会議では重要な事項や機密事項について話すことが多いため、セキュリティ面は無視することができません。ID・パスワードによる認証や、暗号化通信やVPN(仮想プライベートネットワーク)など、どのようなセキュリティ対策が可能か確認するようにしましょう。

具体的なツール

次に具体的なツールについて見てみましょう。世界でも使われている代表的なものを3つご紹介します。

Skype

インターネット回線を利用したチャットおよび電話サービスです。双方がSkypeを使うことで通話料が無料になるマイクロソフトの電話サービスが利用できます。互いがwebカメラでビデオ通話機能を使用すればWeb会議が開催できます。同社が提供するOffice365は、定番ソフトのマイクロソフトWordやExcelがクラウド上で使えるサービスです。同じく同社のオンラインストレージやチャットツールを併用すれば、マイクロソフトOfficeを使った協働作業、チャットによるコミュニケーション、SkypeによるWeb会議を行なえます。
https://www.skype.com/ja/

Googleハングアウト

Googleが提供する「Googleハングアウト」も、インターネット回線を利用した無料のコミュニケーションツールです。Googleハングアウトの「Meet」機能は、Web会議への参加者管理機能を備えており、専用のアプリケーションで会議の日程等がカレンダー形式で確認できるのをはじめ、さまざまな利便を提供しています。オンラインストレージのGoogleドライブを使えば、共同作業の環境も容易に構築できます。
https://hangouts.google.com/

Appear.In

Appear.Inが先の2社と比べて優れている点は、専用のアプリケーションをインストールしなくても、メールで送られてきたURLから誰でもが招待されたWeb会議に参加できることです。パソコンに不慣れな人や、一時的に会議に出てもらうメンバーの参加などに便利です。会議のみならず、営業用としてオンライン上の対面コミュニケーションツールとしても使えます。
https://appear.in/

時短・生産性向上のツールのひとつに

海外では、このようなWebを使ったコミュニケーションがビジネスにも盛んに取り入れられています。互いのオフィスが離れているケースや、国を跨ってビジネスをする機会が多いことなどが背景にあるのでしょう。日本の場合は、都内や近郊ならば集まるのにも時間はそれほどかからず、また顔を合わせてのコミュニケーションを重視する文化があるため、こういったツールの導入には消極的です。しかし、あえてツールを導入することで会議やコミュニケーションの省力化や質の向上を目指すことが大切なのです。特徴を活かした使い方をすれば、Web会議システムは、働き方の改革や生産性向上の有力なツールになるでしょう。

参考: