「G Suite」はGoogleが提供するグループウェア、その利用価値を分析
クラウド活用
現在の日本企業の課題は「生産性の向上」「人手不足への対処」「イノベーションを起こせる風土の醸成」などが主なところでしょう。こうした課題に対処するためには、やはりICT(情報通信技術)の力が必要ですが、そのひとつにグループウェアがあります。課題克服のための基盤を得られて、さらに業務効率化によるビジネスのスピード化や経費の削減効果、社内情報の共有やセキュリティ面での強化も期待できます。ここではオールマイティに使えるグループウェアのひとつとして、Googleが提供する「G Suite」を紹介しましょう。
グループウェアとは
グループウェアとは、企業など組織活動でのコンピュータネットワークを利用した情報共有システムのことを指します。その目指すものは、従業員同士のスケジュールの共有やコミュニケーションなどに代表される情報共有による「業務効率化」です。結果として「生産性の向上」や「付加価値化」も期待できます。企業規模や業種にかかわらず、どの企業組織でも、情報共有基盤としてグループウェアは必要なシステムであるといえるでしょう。
※グループウェアの全貌については「業務効率アップを実現するグループウェアとは?」をご覧ください。
グループウェアでなにが変わる?
グループウェアの価値や導入メリットについて確認するためにも、まずは現状を確認してみましょう。
グループウェアが未導入の企業では、情報共有を行う方法としてミーティングや内線電話、そして電子メールが主流でしょう。スケジュールを共有する際には、外出はホワイトボードに行先と帰社時間を記載したり、チームの活動状況やプロジェクトの進捗状況などは全員が集まってミーティングで報告し合ったり、担当者同士がメールや電話で連絡をすることが多いかもしれません。例えば、営業マンが翌週の月曜日に技術担当者に同行営業をお願いしたいとき、電話やメールで相手に都度確認しなければならない、という状況かもしれません。さらに前日などに、急用での変更がないかどうかの確認の電話やメールをしなくてはならないことも、当たり前の状況かもしれません。
また、急な出張が必要になったときは決裁者である上長や部門長の不在などで、手続きに戸惑った経験などはないでしょうか。
グループウェアを導入すれば、そのような作業がすべてネットワーク上で可能になり、時間の短縮化や、伝達ミスの削減などが期待できるのです。
グループウェアの機能とその効果
グループウェアの基本機能は、次のようなものが代表的です。
- 共有メール:ToやCCにアドレスを連ねなくても、メールアカウントの共有で全員との送受信が可能。
- スケジュール管理:先行きの活動も含めたグループ参加者の日々のスケジュールを共有できる。予定は参加者が自分で登録し、会議や同行の依頼は通知したい相手のスケジュール表に直接記述できる。
- 文書管理:社内規定や契約書、見積書など、参照や情報共有すべき文書をグループ内で一元管理でき、必要なときにすぐに探し出せる。
- 掲示板・回覧板:必要な情報をすぐに伝えられ、既読の有無も把握可能。電子メールのような開封・閲読報告の返信は不要。
- 設備などの予約:ミーティングルーム、応接室、プレゼン機材などの利用状況の確認、予約や変更をパソコンやモバイル機器から行える。
- ワークフロー:電子上で申請と決裁を行う。決裁の進捗状況などの確認や、モバイル機器による外出先からの申請や決裁が可能。
これらの機能により「伝達事項の確実な周知」「グループ間での容易なスケジュール調整」「文書の再利用や共有の促進」「迅速な各種申請処理」がすべて電子上で行えるようになります。結果として作業時間の短縮化や確実化、情報資産の有効活用が促進されることになるわけです。
また付加価値としては、プロジェクト単位での活動による部署など組織の壁を超えた協働作業などに役立ちます。社内で知恵を出し合うことで、イノベーションの機会に結びつく可能性も高くなります。
「G Suite」とは?
グループウェアソフト・ツールは数多くありますが、そのなかでGoogleの提供する「G Suite」の特徴を紹介しましょう。
「G Suite」でできること
- コミュニケーション:機器や利用場所を選ばずいつでも使える電子メールのGmail、全員が予定を共有できるGoogleカレンダーのほか、共同作業の環境を構築できるチャット機能の Google Hangouts Chat、各自の机上からビデオ通話による映像と音声によるWebミーティングを実現するGoogleハングアウトMeetなどがあります。
- データ共有:クラウド上のストレージであるGoogleドライブの利用者は、個人も多いと思います。ビジネス利用では企業内はもちろん、パートナー企業など外部のスタッフともファイルの共有が可能になります。先に説明したGoogleのコミュニケーションツールと併用すれば、コラボレーション(協働の作業・活動)環境の構築が、G Suiteのみで実現できるのです。
- 制作:Googleドキュメント/Googleスプレッドシート/Googleスライド/Googleフォーム(アンケートなどの作成フォーマット)は、マイクロソフトのワードやエクセル、パワーポイントに当たる基本的なビジネスソフトです。利用上の利点としては、Googleのコミュニケーションツールやデータ共有のためのGoogleドライブなどとのコンビネーションが図れることです。
「G Suite」の特長
Gmailや検索エンジンなどで親しみがあるGoogleの「G Suite」ですが、これらの機能は利用料を支払うことですぐに使える点がひとつの特長です。もしオンプレミスで同じ環境を自社構築するとなると、製品の選定作業や導入期間を必要とし、導入するためのコストがかさみます。そして万が一、自社のビジネスに合っていなかったとしても、資産として持ち続けなければならないリスクをともないます。その点「G Suite」ならば、使っている期間だけライセンス料金を支払えばいいのです。自社に最適だと感じられなければ維持する必要はないのです。
「G Suite」の利用料は、月額1ライセンス当たりで以下のとおりです。「G Suite」のコアとなるアプリケーションの機能やセキュリティ、サポートなどは三つのエディションで変わりませんが、企業規模が大きくなるにしたがい、それに合わせたセキュリティなどの機能が充実していきます。
また、無料体験版ははじめることや、「Basic」からテスト導入してみれば、効果について検証ができるでしょう。使っていく途中でエディションの変更や利用の中止も可能です。
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月額1ライセンス |
メール |
アプリケーション |
ストレージ |
サポート |
基本管理機能 |
その他 (例) |
Basic |
680円 |
ユーザー名と会社名の構成による独自メールアドレスのほか、メーリングリスト作成などの機能 |
Googleカレンダー/GoogleハングアウトMeet/Googleドキュメント/Googleスプレッドシート/Googleフォームなど |
1ユーザー30GBまで |
24時間365日対応の電話/メール/チャットでのサポート |
管理コンソールによる利用ユーザーの追加や削除、セキュリティ設定 |
- |
Business |
1,360円 |
容量無制限 |
GoogleクラウドサーチなどのG Suiteの内の包括的な検索など。 |
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Enterprise |
3,000円 |
容量無制限 |
エンタープライスの企業規模に合わせたセキュリティ機能など |
参照:https://www.dsk-cloud.com/blog/g-suite-basic-business
https://gsuite.google.co.jp/intl/ja/
「G Suite」の活かし方、実践的な利用場面
それでは、具体的な利用場面を見てみましょう。
ワークフロー機能によるペーパーレス化
紙による申請書類は、それを必要な部署まで運ぶ労力やその人件費は少なくありません。決裁者不在による採否の遅滞や書類の紛失、決裁済み書類の保管コストなどを考えると、ペーパーレスにすることで時間と人件費の削減が期待できます。さらに、Googleのセキュリティ下でそれらを実現でき、システム特有の課題としてのトラブルなどによる運用停止のリスクも、Googleの信頼性で高い可用性(システムが継続して稼働できる能力)が実現できます。特にシステム要員が不足気味の中小企業でのペーパーレス化を推進するのに強い味方となります。
拠点間のコミュニケーション改革
営業所や支店支社、そして工場や販売拠点など、事業規模の拡大とともに、物理的な距離とコミュニケーションについて検討する機会が増えていきます。同じビルや敷地内であっても、複数の部署が存在することで、コミュニケーションが難しくなることがあります。Googleカレンダーによるスケジュールの共有、GoogleハングアウトMeetによるWebミーティング、そして電子上で申請と決裁ができるワークフローが、それらの距離の問題を解消してくれる可能性があります。パートナーとの協働でも、プロジェクトの期間だけ利用したりする方法もあります。もちろん、海外に拠点を設けた場合などは、Googleという世界レベルでのサービスが距離と時差の制限をなくしてくれます。
テレワークの推進
働き方改革で注目のテレワークの導入にも、すぐに環境を構築できるGoogle Suiteが役立ちます。外出や出張が多いビジネスパーソンでは、オンラインストレージを利用したファイル共有や、チャットとWebミーティングによるコミュニケーションで、いつでもどこでもオフィスにいるように仕事ができます。
ワークスタイルを刷新できる「G Suite」
最後に具体的な使い方を紹介しました。これらは例ですので、ぜひ自社で使う場合の利用場面やメリットを、まずは考えてみることをお勧めします。会社や事業によりさまざまな使い方に応用が利く点も、「G Suite」の特長のひとつです。
参考:
- いまさら聞けない G Suite とは メリットや機能を基礎から解説|株式会社電算システム
- グループウェアにはどんなものがある?種類別に特長を比較!|ferret
- 【完全版】今さら聞けないグループウェアの全知識と成功の必須条件|IT Koala Navi
- インパクトのあるドキュメントを作ろう|Google
- ビジネスに対応した Gmail、ドキュメント、ドライブ、カレンダー|G Suite by Google Cloud
- G Suite|NTT Communications