中堅中小企業こそクラウドがおすすめ、そのシンプルな理由

中堅中小企業こそクラウドがおすすめ、そのシンプルな理由

クラウド活用

ビジネス環境の変化に、どう対応できるかが問われる時代になりました。変化するニーズに製品やサービスなどの商材を合わせるのはもちろんですが、社内の業務を見直し、ビジネスを支援するための社内システムなども、可能な限り最新で効率の良いツールへと更新していきたいものです。しかし、導入にはコストと社内のIT人材の人数や質が求められます。そこで考えたいのがクラウドサービスの利用です。予算や人材に限りのある中堅中小企業こそ、その活用がビジネスの大きな推進力として期待できるのです。

進むクラウド利用、中堅中小企業も

実際に、中堅中小企業と言われる事業規模でのクラウドサービスの導入状況を見てみましょう。

導入が着実に進むクラウド

総務省が実施した平成28年9月末の『通信利用動向調査』によると、資本金1億円未満の企業のクラウドサービス(クラウドコンピューティング)の利用率は、平成26年が33.6%、平成27年が36.9%、そして平成28年は40.4%に達しました。資本金10億円以上の企業ともなるとその導入率は60%を超えますが、中堅中小企業でも2社に1社の導入率に近づいています。

本来は中堅中小企業ほどクラウドの導入率が高くても良い

大手企業ほど資金力やIT人材の厚さから最新のテクノロジーを導入しやすいといえますが、じつは中堅中小企業こそクラウドを利用するべきなのです。クラウドが中堅中小企業向きである主な理由は、以下の3つです。

  1. 情報処理ソフトウェアやサーバを自社で保有、維持する必要がないため、導入と活用までのリードタイムを短くし、導入ミスなどのリスクも最小化できる。
  2. システムの維持管理はサービス会社が行うので、少ない人材でも利用できる。
  3. 買い切りではないため、常に最新のシステムにアップデートされる。

大手の企業では、最新技術の取り入れ、フレキシブルな対応、急拡大するデータへの対処、内部コスト(保有システム、IT技術者)の低減などを目的にクラウドの利用を進めています。クラウドの導入によって得られるこれらの利点は中堅中小企業にとっても魅力的なものではないでしょうか。「中堅の中小企業だし、クラウドの導入はまだ早い」と尻込みする必要はないのです。

中堅中小企業のクラウド活用のメリット

先に挙げたクラウド導入のメリットを、中堅中小企業における利用という視点でもう少し詳しくみてみましょう。

コスト削減

必要なシステムを最初から作るオンプレミスの場合、資産にはなりますがソフトウェアや業者の選定、社内プロジェクトチームの立ち上げ、構築後の評価など何工程にも渡る作業が求められます。そこまでしてもシステムが期待どおりの効果を発揮しなかったらどうでしょう。システムの構築にかかるコストが多い分、作り直すことは容易ではありません。一方、クラウドなら自社のビジネスに適してないと判断すれば、違うサービスに乗り換えることもできます。導入コストを削減できるのみならず、投資回収コストのリスクも最小化できることもクラウドの大きなメリットといえるでしょう。

さらにクラウドは、サービスを提供する会社が日々の維持管理を行うので、利用する企業の管理スタッフが少なくてすむのも大きなメリットです。

最新技術の導入

じつはクラウドの導入効果でもっとも大きいメリットは、コスト削減やリードタイムの短縮ではなく、常に最新の技術を利用できることなのです。そもそもクラウドは多くの利用者へ提供されるサービスです。そのため、利用者からフィードバックされるさまざまなニーズを取り入れ、常に改善や強化が進められています。それこそがクラウド導入のもっとも大きなメリットといえるでしょう。

どの分野からクラウドを導入するか

では、クラウドを導入するとして、導入する分野の優先順位をどうするか、という視点で検討してみましょう。

一般的には電子メール、ファイル保管など

先の総務省の調査では「電子メール」が51.7%、次いで「ファイル保管・データ共有」(50.7%)、「サーバ利用」(46.7%)となります。例えば電子メールでもクラウド上で管理されることで、利用者それぞれのパソコンにデータが残らないので情報漏洩が防ぎやすいなど、それだけも活用メリットがあります。社員のアドレスや利用状況の管理もしやすくなります。日々増えるデータの管理やバックアップ、繁閑でデータ流通量が変わるケースなどでは、必要に応じてストレージやサーバをクラウドで調達するほうが自前で用意するよりも確実で、フレキシブルに対応できるのです。

業務環境をクラウドで整備

働き方改革や業務改革に焦点を合わせて、以下のようにクラウドを活用することも有効です。

  • バックオフィス業務の電子化や自動化を進めるために、会計システム等のクラウドサービスを導入
  • 外出時やテレワーク時の業務をスムーズにできるように、ワークフローシステムやWEB会議システムを導入
  • 書類の作成・編集を複数人で同時に進められるように、オンラインストレージを導入

このようなクラウドの活用によって、以下のような効果が見込まれます。

  • ペーパーレス化
  • 業務の電子フロー化
  • テレコミュニケーションの活性化
  • ファイルや文書情報の共有化

さらに次元の高い領域へチャレンジ、情報セキュリティもクラウドで

CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネージメント)やSFA(営業活動支援システム)、BI(ビジネスインテリジェンス)などこれまで導入効果への疑問で二の足を踏んでいたITシステムへのチャレンジも、クラウドでハードルが低くなりました。

さらに情報セキュリティの強化という守りの面でもクラウドの役割が大きくなってきています。社内ITと社外ITの共存環境の増加やモバイルツールの活用により情報へアクセス可能なデバイスが増え、サイバー攻撃も高度化している今だからこそ、守るべき情報をクラウドに集約し、守りやすくすることが大切なのです。

将来を見据えたクラウドの利用

ビジネス環境は急速に変化しています。クラウドによるシステムの最新化や、迅速な対応を心がけるだけでもビジネスへのプラス効果が期待できるといえます。そして将来、AIをクラウドで利用できる時代が来ると予想されます。その準備という意味でも、今からクラウド利用についてのノウハウを蓄積することは重要といえるでしょう。

 

参考: